さて、バス移動からいよいよ拠点に荷物を移してボランティア作業開始ということになった。

途中までは被害などほとんど感じられないような普通の街中、といった感じだった。
それが流れている川を境目にして、残骸がどんどん目に止まる。
川のこちらがわと向こう側で、被害がぜんぜん違う。これには唖然とした。

そこはかとなく隅っこ。

そこはかとなく隅っこ。





私達が泊まる建物は結構広く、百人程度なら余裕でとまれる感じ。

そこはかとなく隅っこ。-外観


そこはかとなく隅っこ。-中

ヘドロで敷き詰められていて、ピースボートが出したあとにオーナーさんのご厚意で貸してくれているのだとか。
傍目にはヘドロがあったとは思えないほどきれいだった。

一日の時間割はこんな感じ。
・おきたあと、初日以外は7:45に入り口前に集合。

そこはかとなく隅っこ。-入り口前

・監督役から挨拶のあと、ラジオ体操。
・「ネコ」と呼ばれる工事現場でよく見かける一輪車に、作業する道具を積んで現場へ。
・こまめに休憩をとることを推奨。できれば30分に一回のペースで休憩をとるのが望ましい。
・12時、または1時くらいに昼食。近ければ拠点に戻って食べる。
・一時間程度の休みのあと、現場へ。
・作業。基本4時半まで。
・終わったら、拠点に戻って片付け。私たちの所では高圧洗浄機があり、道具にもネコにも自分たちにもそれを使う。

そこはかとなく隅っこ。

そこはかとなく隅っこ。


・それからは自由時間だが、5時45分にリーダーミーティングがあり、それまでにグループで反省会を行っていた。
・リーダーミーティングは結構長く、一時間やっている日もあった。リーダーお疲れ様。
・ミーティングが終わるころにみんなで夕餉のしたく。
・終わればあとはご自由に。

それでは、いよいよ最初のお宅へ。
そこは拠点から200メートルもいかないところで、ヘドロが硬すぎたり軟らかすぎたりしないため「初心者向け」らしい。
結構こまめに監督役(リーダーたちのリーダーなのでリーダーリーダーと呼ばれる)は来てくれるので、作業自体に迷うことはほとんど無かった。
ただ、やはりヒキコモリにはつらい作業。バス移動の後ということもあって、体力がすぐに奪われる。
おまけにバス移動後にあれだけ降っていた雨が嘘のように止み、太陽さんがさんさんと陽光を降り注いでくれた。
気温的にはあまり暑くもない日だったはずだが、太陽光は気温が低くてもこの一週間苦しめてきた。

一緒のグループメンバーたちはやはり真面目な人たち。コミュニケーションは頻繁に取り、役割分担もうまく機能しているようだ。
ただ私はコミュ障で主張しないため、なぜだかスコップを持ったりするのは他メンバーになり、私は土嚢袋をしばってネコで道路まで運ぶ作業が多くなった。
異論もあるかもしれないが、ネコを使って土嚢を運ぶのが一番体力を使う。ヒキコモリには最初からつらい試練になった。
休憩時間には隣の人(家主さんは不在で、ちょっと見てくれと頼まれたよう)がコーラをもってきてくれた。

しかし初日は作業時間が短い。二部屋やる予定だったが一部屋で終了。
夕食になると、グループのメンバーが餅をいっぱい持ってきていた。
そのため毎夕食その人の餅を頼りにし、味噌汁以外食べないで済むようになった。
そこで周りを見てみると、うちのグループは結構貧相な夕食だとわかった。
実は今回はインターナショナルな募集もあって、ガイジンさんが多かったため、ハムステーキをグリル焼きするようなすげぇ人もいた。
他のチームの鍋だとかを横目で見ながら、行く前にメールでもうちょっと食事のことを話せばよかったね、などと会話しながら個人で食べていた。


さて、二日目。
寝る前にはそうでもなかったけど、実は石巻は深夜から冷え込むということがわかった。
朝に寒くて目がさめる。この気温差がなんとも御しがたい。
朝の結構早い時間にご飯を食べるようになった。

作業は、同じ家で違う部屋。その日も泥のかきだしはつらい作業だった。
また同じ隣の人から差し入れをいただく。
なんということでしょう。イチゴやオレンジ、漬物にあったかいお茶まで入れてくれた。
この寒い日にはお茶がすごいうれしい。

そこはかとなく隅っこ。-差し入れありがとう!


ちょっと話を聞くと、その人が二階に避難すると、一回が全部水で埋まって四日間外に出れなかったそう。
しかもその間はそこにプカプカ浮いていた袋入りのパンだけを頼りに乗り切ったという。
そんなにまで苦労しながらも笑顔で話してくれて、こんなおいしいものをいただけるなんて・・・。
しかもその家の人ではないのに。こんなうれしいことってあるだろうか。

家の中のヘドロというのは、床下の土までさらってすべてに浸透していく。
まずは板をはがし(ボランティアは板はがしはしないで、それが完了したあとに泥だしだけ行う)、ビニールの上にあるヘドロを一回全部出す。
その後ビニールを剥がし、その下にある土と混ざったヘドロを出すのだ。

しかしどこまでやればヘドロがとれたかの確認はできない。それほどに浸透している。
だから一応上澄みをとれればそこで完了ということになる。
じつはこれをやったからといって住めるようになるわけではないのだ。
板を張ったり、基礎の部分の工事をやり直したりするにはお金がかかる。
しかもその地域はもう新しく家を建ててはいけないそうで、このままでは人が一方的に出て行くばかりになるのではないか。
地域の衰退は止められないところまできているような気がする。