前回は、『食料自給率のなぜ』でどのようなことが説明されたかをみましたが、その中で

「大豆の生産量を上げるため、A三〇〇運動をしている」というのがありました。
ググってもでてこなかったんですが、たぶん
中国四国農政局「大豆10・300(じゅってんさんまるまる)運動」の取組方針」
これはそれの地域版だと思います。
しかしそこのPDFからリンクをクリックすると404という体たらく・・。
それで「10アール当たり作業時間10時間以内でかつ単収300キログラム以上」というこの運動。
丸写しでもうしわけないが、取り組みは以下のとおり。

普及推進の取組
(1)共通の取組

 新技術等の普及を図るため、中国四国管内行政機関、試験研究機関、関係団体等が協力し、各種の取組状況や新技術等について意見交換を行い、情報などの共有を図るとともに、産地等に対し各県の優良事例や情報提供を行う。
(2)農政局段階

 農政局においては、大豆300A技術等の新技術の普及推進にあたり、局内での関係各課と連携し、独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構や各県との支援・連絡体制の整備、各会議及び技術実演会の開催、各種情報提供等を行い、普及推進を図る。

* 新技術の支援・連絡体制の整備(技術支援ワンストップ窓口の設置)
* 中国四国ブロック大豆300A技術等新技術普及推進会議及び技術実演会の開催
* 新技術に関する事例の取りまとめ
 (各県等の取組技術、大規模経営・集団の取組事例等をホームページで情報提供)
* 大豆生産等現地検討会の開催

(3)県段階

 各県においては、関係各部局や県試験場等と連携し、大豆300A技術等の新技術の普及推進等を産地等に対し積極的に実施する。また、各団体や各協議会等とも連携し技術等の効果的な波及を図る。

* 県試験場における安定多収技術の確立及び実証
* 新品種及び既存品種の地域適応性の検証
* 栽培マニュアルや栽培暦の見直し
* 栽培技術講習会の開催
* 大豆の流通販売等の促進の検討(実需者ニーズの把握)

(4)産地段階

 農政局や各県を始め各団体や各協議会とも連携し、大豆300A技術等新技術について、現場に即した形で実現可能な技術体系として確立する。また、担い手の育成や技術向上の対策等を充実し、実需者、消費者との連携推進を図るよう努める。

* 新技術の実現可能な技術体系の確立
* 担い手の育成
* 新技術に係るオペレーターの技術向上対策
* 農業者に対する技術講習会の充実
* 実需者、消費者との連携推進


さて、実際になにをしているのかまったく私にはわからないですが、ここで大豆の世界の生産比較を見てみましょう。

主要国の大豆生産状況(PDF)

10a当たり収量を見てみると・・・日本は半分の157kgかぁ。道のりはなが・・あれ!?300超えてる国がひとつもないじゃん!(それとも読む単位間違ってる?)

じゃあ生産量を上げるための工夫ってなんだろうか。

農林水産省「食料自給率目標の考え方及び食料安全保障について」(PDF)

この中から大豆のために開発された技術を見てみると・・・
$そこはかとなく隅っこ。-大豆
上の生産面積から15万ヘクタールだとすると、開発された技術が普及しているのは10%前後。20%はいっていないでしょう。
もし全部の面積で実施されたとして、湿害回避の耕運機で10%、地下水位制御で50%生産性アップだとしても2倍にはならない。

大体の穀物で同じ(と思う)ですが、同じ面積で外国と日本で収穫量がこれだけ違うのは、なぜでしょうか。

落照亭:大豆の話
大豆について色々書いていらっしゃるサイトがあったので、参照。

大豆の収穫量には太陽の日射量が大きく関係しているようです。
それとともに、日本では食用の大豆に「遺伝子組み換えでない」大豆を使っています。
(関係ないですが、食品表示に括弧でこれをつかっているのがいつも違和感。言葉使いの面からか。「非遺伝子組み換え」でいいじゃんと思ってしまう)
遺伝子組み換え大豆は世界の生産量の6割以上に及ぶようです。
しかもこの大豆はモンサントという多国籍企業の一社独占商品。
「ラウンドアップ」という農薬に耐性がある「ラウンドアップ・レディー」という品種だそうで。おまけに去年「ラウンドアップ・レディー2」が登場し、収量が飛躍的にアップしたようです。

世界各国が遺伝子組み換えでさらに収量を上げようとしています。
しかし日本は食用大豆の遺伝子組み換えに国として取り組む気が感じられません。
昔ながらの品種改良で良いと考えているようです。(倫理的なことと、モンサントみたいなとこに依存している状況がどうかというのは別の話です)
しかし非遺伝子組み換えで規模の経済性もなく、現在世界でどの国も成し遂げていない収量を上げようというのは・・・これは野心的というの?それとも無謀な目標というの?
私にはどうやって収量を上げるのかまったくわからないので口を挟む余地もないのですが・・・。この目標変じゃない?

追記


大豆300A技術 - 最近のニュース

ここの記事によると、重粘土壌が多い北陸地方でも10アールあたり260キロとれてたみたいです。
それとここのPDFでは古い不耕起播種技術とかいうのでも300近くとれてるみたいな感じですね。
$そこはかとなく隅っこ。-大豆生産量比較
だとすると上で取り上げたデータとの乖離はなんなんでしょうね?

今は大多数の大豆生産者がこの先進的な多収量技術を利用していないというのは事実のようです。
つまり、ほとんどの低収穫大豆によって平均が押し下げられていると・・・

ん?ということはその技術が普及するメリットがあまりないからと考えるほうがしっくりくるのではないか?

つまりその多収量技術を導入するコストが収量が上がる利益よりずいぶん多いということ?
それでは農水省が技術を開発してもそれを導入する人は少ないという予測が成り立つ・・・。

必要なのは多収量技術を開発することではなく、単に「お金」の問題なのでは?
短期間で導入のコストをペイできることのほうが大事なのではないでしょうか。

そうなると上のPDFで述べられていた普及は「補助金」によって左右される性質のものであるといえます。
しかし技術普及に関する補助金については見つけられず・・・。
今後も探すつもりですが、どうも農水省の意図が読めません・・。