こんにちは、EU口腔顎顔面外科です🍃
今日は、口元の突出(出っ歯)と受け口が同時にあり、さらに顎関節にも問題があった患者様のケースをご紹介します。
初診時は、上下の歯がしっかり噛み合わず、歯の中心線も大きくずれている状態でした。
また、レントゲンでは顎関節の顆頭がほとんど見えないほど吸収されており、治療難易度の高いケースでした。
🦷 1. 手術前:顎関節の安定化+術前矯正
患者様は来院前に、大学病院で 約1年間の顎関節治療(物理療法)を受けており、
「現在の関節は安定しているため、矯正と手術が必要」という所見を持って来院されました。
しかし、当時の咬合状態ではすぐ手術ができる状態ではなかったため、
まず 約1年間の術前矯正からスタートしました。
なお、術前矯正の期間中は
“むしろ噛み合わせが悪くなったように感じる”ことがよくあります。
これは、手術後の新しい骨格に合わせて噛み合わせを作っていく過程のため、正常な反応です。
🏥 2. 手術後の変化:突出した口元が自然に後退
手術後約1ヶ月のデータでは、下顎がしっかり前方へ移動
口元の突出が改善
顔のバランスも大きく整うといった変化が確認できました。
ただし、この時期はまだ表情の違和感や咬合の不安定が残るため、時間をかけて安定させていきます。
🩻 3. 顎関節の状態が特に難しかったポイント
この患者様は、顎関節の顆頭部分が
ほとんど吸収されて見えないほど弱っていたため、
手術計画には特に慎重な判断が必要でした。
こういったケースは再発リスクが高く、
矯正治療や術後管理もより丁寧な観察が求められます。
⏱️ 4. 治療期間2年6ヶ月、最終的な結果
患者様の治療は 約2年6ヶ月 にわたって行われました。
最終的には、下顎が正常な位置へ前進し、口元の突出が自然に改善
オトガイ下(メンタルフォルド)の深いシワが緩和し、横顔のラインが整い、
咬合が安定化し顎関節も問題なく維持することがきるようになりとても良い結果を得ることができました。
特に、下顎の長さが足りない症例だったため、
骨の長さを“延長”させる治療が必要で、より慎重な手術が求められました。
✨ まとめ
突出した口元、受け口、顎関節の問題が複合的にあった難しい症例でしたが、
術前矯正・手術・術後管理を丁寧に積み重ねたことで、
現在は自然な横顔と安定した噛み合わせを取り戻されています。
複雑なケースほど、綿密な診断とチームでの協力体制が
治療成功の大きな鍵になると感じた症例でした。
また次回も、少しでも参考になるケースをご紹介します。ありがとうございました😊



