「ドシレ〜 ドシラ〜」
カタカナで書くと、たったこれだけですが、ブラームスの「インテルメッツォ」の冒頭は、
愛しい、永遠の「あなた」への呼びかけに聞こえます。
それが何度も何度も繰り返されるのです。
親密に愛情豊かに呼びかける場面から始まり、
胸を躍らせ、思い出の扉を一つずつ大切に 開けてゆくのです。
時には、秘密の密やかな翳りある呼びかけだったり、
美しいけど不協和音が混ざる、複雑な想いでの呼びかけだったり、
痛みあるほろ苦い想いだったり、
過去の小さな悲しみが、胸をよぎり、それでも
思い出を蘇らせることで、
より豊かな味わい深い想いへと、次第に高まってゆくのです。
そして遠い日の思い出が、断片的な記憶が
寄せては返す波のように、心の奥で打ち寄せてくる。
その思い出を一つ一つ大切に呼び起こし、高めてゆくと、
突然、目眩く感情が湧き起こり、溢れる気持ちが解き放たれます。
すると・・・見えてくるのは、
胸いっぱいの懐かしさと、鮮やかに輝く光景。
しばしそこに浸って・・・でも、別の角度から見ると、
それは今度は、悲しく色褪せて見えたりもするのです。
光と影の間にあって、
揺るぎないものは「あなた」への変わらぬ想い。
愛しい「あなた」
想い出の中の「あなた」
そして永遠の中の「あなた」へと呼びかけ続ける、「わたし」!
私からあなたへ
永遠の「あなた」に出会う旅が、今、始まります。
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◉亡き父の命日に、大切な人を想い練習するブラームス
この作品は、ブラームスが愛しい「クララ」に捧げた曲とも言われています。
しみじみと美しく、私にとっても大好きな大切な作品で、
これまでも、いろんなピアニストさんと、
幾たびもの公演でオイリュトミーで取り上げてきました。
今日は、亡き父の命日。
亡くなってちょうど一年経ちます。
大切な人を想い、改めて、ブラームスに会いたくなり、 ピアニストの田崎さんと練習を始めました。
その様子を動画に撮り、upしていく予定です。
ピアニストとオイリュトミストの対話も拾いながら、 これから少しずつ、仕上げてゆくプロセスを、ご一緒していただけたら幸いです。
今日は、約2ページ分。
A Dur から、激情が迸るfis mollの前までの部分を、練習しました。
久しぶりのブラームスの練習で、感情がとても潤い満たされようです!
「どんな感情も尊く、ネガティブな思いも、芸術を通して昇華できる」
「愛するものへの思いは、対象を越えて、神的なものにまで高められる」
目には見えない音楽の素晴らしさ。
そしてそれを肉体で、動くオイリュトミー。
そこから、感じられることを、一人でも多くの方と共有できたら嬉しいです。
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*ヨハネス・ブラームス(1833.5/7〜1897.4/3)作曲:
間奏曲 イ長調 作品118−2 - 6つの小品
Brahms - Intermezzo in A major, Op. 118 No. 2 - 6 Piano Pieces
*オイリュトミー 渋谷智栄子
*ピアノ 田崎和美
*会場 那須・奏身舎にて
2024 7月17日 那須・奏身舎にて
ヨハネス・ブラームス作曲「インテルメッツォ」のオイリュトミー練習動画⑴