2/27開催のイベント「闇から光へ」は、二部構成となっております。
14時〜16時 奏身舎にて
●第一部 オイリュトミー公演「昴」
・「錦木に寄せて」より、藍玉、萌黄、琥珀
・「すばるの七ツ」より、月、火、水
二十五絃箏という新しい日本の和楽器と、西洋で生まれたオイリュトミーの珍しいコラボレーションです。和と洋の響きによる出会いをお楽しみください。
●第二部 アニメ上映「cosmos」 監督のトークあり
小、中、高校生に人気の合唱曲「cosmos」をテーマにした作品。
近清監督とは奏身舎での冬至合宿に参加されたご縁で、この企画が生まれました。
※第一部、第二部ともに、「星」「色」にまつわるテーマです。
前回のブログに引き続き、二十五絃箏とのコラボ作品についてご紹介します。
・「錦木に寄せて」
闇から光へ
*・゜゚・*:.。..。.:*・作品紹介・*:.。. .。.:*・゜゚・*
●〈錦木に寄せて〉・・・魂の色世界を踊る
「藍玉」「萌黄」「琥珀」 長澤勝俊作曲
「錦」とは「美しい色合いの織物」のこと。様々な色糸や金銀糸を用いて模様を織り出した絹織物のことで、総じて豪華な織物をいいます。
「故郷に錦を飾る』ということわざもありますね。
「錦木/にしきぎ」とは「五色に彩色された美しい小枝の束」のことです。
かつて、東北地方で錦木は、恋文として使われたそうです。
文字ではなく、色の枝を贈ることで想いを伝えたというところが素敵ですね。
そう、「色は想いを伝える」のです。
たとえば、青は、内省的な気分を、黄色は、外向的な気分を伝えます。
古人は、いろいろな想いを、いろいろの色の枝に託して恋する人に届くように願い、贈ったのでしょうね。
伝説では、
男が求婚の際、錦木を女の家の門に挿し立て、女が受け取ると想いが叶った印とみなされ、錦木を受け取るまで、千日通い続ければ、男の誠意が認められ、想いが叶うことになっていました。
しかし、999日目。あと1日というときに、男は力尽きて死んでしまい、嘆き悲しんだ女も、そのあとを追い死んでしまいます。
この2人が亡霊となって現れる奥州錦木伝説が、世阿弥の能の演目「錦木」となっています。
この伝説を、作曲家の長澤勝俊は音楽化し「錦木によせて」を作曲しました。
それぞれの5つの小品タイトルには「藍玉」「萌黄」「茜雲」「瑠璃」「琥珀」など、異なる「色」の名前がついており、切なくあくがれる魂の物語として、5つの異なる色ー感情世界を表現しています。
あくがれる魂は、風のように誘われて、疾走し、時空を超え求め続ける・・。
しかし運命は、今生での二人を無情にも引き裂く。
伝説では、二人の純粋な想いは地上で結ばれずに亡霊となり、あの世でようやく結ばれ、浄化されるのです。
しかし、芸術の中では、あの世ではなく、この世において、
どんな感情も、透明な結晶のように浄化されるのです。
今回は5作品のうち、「藍玉」「萌黄」「琥珀」3つの音色の世界を、オイリュトミーと二十五絃箏のコラボレーションで描きます。
◉萌黄/四度のインターヴァルの生命世界
今回、わたしは、「萌黄」をオイリュトミーで舞わせていただいたのですが、練習をして気づいたことがあります。
それは「四度」のインターバルが幾度も繰り返されることです。
動画では、旋回しながら落下するイメージと、上昇するイメージの部分がありますが、そこでも「四度」は連続して使われています。
きらめきと、輝き、そして神聖なる世界との出会い・・そんな感じがするのです。
三度の親密さはなく、どこか硬質で、くっきりしている感じ。
そして生き生きした、心地よい緊張感があります。
シュタイナーは
四度のインターヴァルについてこのように語っています。
「神々の世界を、この地上において体験するとしたら、それは四度のインターヴァルで表せる」
「四度のインターヴァルはエーテル界だ」
シュタイナーの言葉は、普通に考えるとすごく難しいですが、
実際の曲を例に挙げると、
「アメイジンググレイス」「蛍の光」「フォーレ/ピエイエス」
これらの曲の出だしは、いずれも四度のインターヴァルがあり、
懐かしく、どこか神聖で清らかなイメージが共通していると思いませんか?
スクリャービンは、四度のインターヴァルを重ねた和音を「神秘和音」として、自分の曲の中でよく使っています。
またわらべ歌や仕事歌にも、よく使われているんですよ。
小澤千絵子さんの奏でる二十五絃箏は、四度のインターヴァルがとても美しく響く楽器です。
これからも二人で、音の背後に広がる神秘の世界を、演奏と舞で追求していきたいと思っています。
どうぞ、多くの方に観て、聴いていただけますように。
「萌黄」の練習動画↓
「萌黄」色とは、萌え出づる草の芽の色。
この楽曲「萌黄」からは、草の芽の色だけではなく、
目には見えない、補色の赤紫色もすごく感じられる作品です。
◉三つの作品の「色彩」について:小澤さんの資料より引用
「藍玉」(あいだま):藍染めの藍を染める時に使う染料。藍の葉を発酵・熟成させた染料である蒅(すくも)を突き固めて固形化したもの。土色であり、なぜここから藍色が出てくるのか不思議なほどである。
「萌黄」(もえぎ):鮮やかな黄緑色系統の色。春に萌え出る草の芽をあらわす色で、英語色名の春野の緑を意味するスプリンググリーンに意味的にも色的にも近い。芽吹いたばかりの草木の色。
「琥珀」(こはく): 木の樹脂(ヤニ)が地中に埋没し、長い年月により固化した宝石である。「琥」の文字は、中国において虎が死後に石になったものだと信じられていたことに由来する。 鉱物ではないが、硬度は鉱物に匹敵する。色は、黄色を帯びたあめ色のものが多い
一音成仏の響き
オイリュトミスト/渋谷智栄子 & 二十五絃箏曲家/小澤千絵子
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