直立歩行を経て、2歳頃から子どもは、意味のある言葉「母国語(母語)」を獲得していく。日本人なら日本語を、ドイツ人ならドイツ語を、英語圏の人は英語を、自分の生まれ育つ風土の言葉を、身に纏っていく。私たちの体は実は、「言葉」という目に見えない光の織物で織り上げられているのだ。
母語=民族の言葉=風土の言葉とも言えるので、
2歳以降は、自分の周りの風土の影響を受けた言葉=母国語(母語)を学んでいく。
母なる大地、という言葉があるように、言葉にも大地のように、土台となって支える働きがある。
人生のはじめに「母なることばである母語」をしっかり身につけることは、この地上でたくましく生きていく上で本当に大切なことなのだろうと思う。それは無意識のうちに、自分自身を包み守ってくれる生命の羽衣だからだ。外国語を学ぶ前に、まず、母語なのだ。
黒川伊保子氏は、著書「日本語はなぜ美しいか」において次のように語る。
「赤ちゃんは母親の発音体感に共鳴して、最初のことばである母語を獲得していく。
母語は脳の認知構造と深く結びついており、幼児期から身につけていく発音体感の感性は、のちに獲得する言葉の意味よりずっと重い。」p114
つまり、ことばの意味よりもどのように発音されたかーどんなリズムや響きで語られたかーが大切ということである。
また、黒川氏は、著書「成熟脳」においても、
「言葉の触感は、発音の運動に伴う感覚で、小脳が担当しており、ここは無意識の領域だからだ。しかし、小脳は、空間認識を司り、イメージ生成の基盤となる場所。言葉の触感のものがたりは、意外にも大きく、私たちの脳に影響しているのである。
私自身は、だから、語感の正体は、発音時の体感(ことばの触感)であると定義している。」
そして
「発音体感こそが、ことばの本質である」
とまとめている。
つまり、人間が語るときの身体感覚に、ことばの本質があらわれるというのである。
言葉を喋る時、無意識のうちに、舌を動かし息を遮ったり、唇を合わせたり、左右に引っ張ったり、喉を大きく広げたり、頬でまぁるく包み込んだり、口腔での運動を行っている。普段は、全く無意識に行っている運動を意識して身体全体にまで広げることで、言葉の生命溢れる創造の力が、立ち現れてくるのだ。
運動と言葉を結びつけるのはオイリュトミーの根幹である。
幼い子どもたちは無自覚なまま、これをやっている。言葉と運動がまだ結びついたままの幼児は、だからオイリュトミーが理屈なしに大好きである。
しかし、現代の大人は、知的になっているため、通常、言葉と運動が切り離されている。
それを、芸術を通して感情を媒介に結びつけるのがオイリュトミー芸術といえよう。
下記のシュタイナーの言葉は、それを暗示した言葉だが、謎めていてちょっと(かなり!)わかりづらい。アタマではわからないことも、カラダを通すと腑におちることがある。
人間よ、語れ
そうすればお前は、お前を通して、世界の生成を開示する。
世界の生成は、お前を通して自らを開示する。
おお、人間よ、お前が語るとき。
ルドルフ・シュタイナー「エフェソスの秘儀の言葉」
このマントラを次のような渦巻き状のフォルムでオイリュトミーを通して動いた時に、
内に、外に渦巻くダイナミックなエネルギーの流れを感ずることができる・・かもしれない。
腑に落ちるまでには、納得がいくまで体が覚えるように繰り返しの練習が必要。
実は、このフォルムは生命の「発生」のフォルムなのだ!
私たちがそこから生まれてきた、命の源の水の動きである。
左:三木成夫「胎児の世界」より 右:エフェソスの秘儀のフォルム
魚類、鳥類、そして哺乳類の卵から、胚が発生し、生命が育つ創造の過程が、このフォルムなのである。
フォルムの力については、また別の機会に述べることに。
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