奏身舎のオイリュトミーや言語造形クラスでは、ドイツ的な言語造形の発声(ドイツ的)に加えて、日本の言霊学由来の発声も練習しています。
それは、日本語は、世界でも稀にみる母音を主体に音声認識する言語だからです。
脳科学者の黒川伊保子氏によると 話す言語が「母音優位」か「子音優位」によって脳の使い方が全く異なるそうです。
日本語と同じ仕組みを持つ言語はポリネシアン系のみというから、世界でも非常に珍しく、そして、美しい言語なのです。
母音には「母の音」のネーミングにふさわしく、心を無防備に開くような力があり、奥深くまで浸透するような作用があります。
なので、まだ母語を獲得していない幼児期の早期外国語教育は、危険であると黒川氏は述べています。
(私も同感です)
日本の風土や日本語を話すことで培われる感性を無駄にしないためにも、我が国で養われた生きた言葉の感覚を大切にし、それをオイリュトミーや発声法、敎育の中でも生かして行きたいと思っています。
そこで、
教育における実践として、日本語の発音体感を動きに取り入れた
(わらべ歌風の)手遊びを考案しました。
これは、幼児やハンディある人がより模倣しやすく受け入れてくれるものを探っている過程の中で、生まれた遊びです。(遊びの動きの中にオイリュトミーのエッセンスが入っています)
また、オイリュトミーにおいては、「真寿美の鏡」を元に、「母なる音/母音」と「父なる音/子音」を融合させた「子なる音」としての「か、が、だ、た、ら、な・・」などの75音から、15音抜き出して「地→水→火→風→光」
の順に練習するメソッドを考案しました。
これにより、母音子音の結びつきが、より体感しやすく、日本語の生命力がはっきり実感できるのです。
オイリュトミーや言語造形を創始したシュタイナーも、
日本語のオイリュトミーは、やわらかな花が開くような美しいものになるだろう、と述べたそうです。