2018年7/14 イシスの会教育オイリュトミー講座では、「七夕伝説」をオイリュトミーで体験し、秘められたメルヘンの叡智を学びました。

 

imageimage
 
●導入としての笛、手遊びの練習
 
導入は、輪になって、季節の手遊びや歌、五音階、七音階のリコーダー練習から。
七夕の歌も練習し、やわらかな5音階の世界をみんなで味わいました。
 
同じ梨の木の笛でも、一人一人が奏でる音は、みんな違うんですね。
まるで音の響きの中にその人自身が現れているようでした。
 
こうした音の体験を通して人と人が互いの人格や違いを体験し、分かち合うことは、他者を理解する上でとても大切なことですね。
 
imageimage
 
 
●メルヘンを動く前の基本練習
 
メルヘンを動く前に、七夕と織姫にちなんだ練習を行いました。
 
 
・織り上げる経糸、ヨコ糸のイメージ・・・
    縦横に織りなすフォルムを色とりどりのシルクを持って動く
・五芒星のフォルム・・・
    星の形をライアーや、和歌で動く
 
・繭のカタチである楕円から8の字への移行のフォルム
 
 
・子音S音のオイリュトミーを、歌とともに練習しました。
 
 
● 二つの世界を往き来するS音
 
子音のS音は「静けさと騒々しさ」「生と死」のように、対立する両極を併せ持つ子音です。
♪笹の葉サラサラ 天の川キラキラ
♪笹の葉サラサラ 天の川キラキラ
 
古来は、七夕の頃に集めた朝露で墨を刷り、願いごとを書いたといいます。
天の力が込められた墨で願い事を短冊に書き、笹の葉に吊るす。
サラサラという静かな笹の S音の響きに、自分を超えた大きな力を古代人は感じたのでしょうか。
 
地上から天上へ、天上から地上へ 
 
二つの世界を往き来するダイナミックな呼応を、澄み切った純粋なS音の響きと共にオイリュトミーで動きました。
 
 
●いろんなフォルムで体験する「七夕」のメルヘン
 
お話を私が語りながら、参加者全員がオイリュトミーで動きます。
 
・輪になっての収縮と拡散
・8の字フォルム
・言葉の響きとリズムに合わせ、オイリュトミーで響きを動く
 
すると、体の動きを通して、やわらいだ空気とともに、大いなるものとの一体感が生まれます。
これこそ、オイリュトミーならではの醍醐味と言えるでしょうか。
 
 
●あらゆるものになりきり、内側から感情で体験する
 
ある時は天女、ある時は織姫、そして牛飼い・・・とあらゆるものになりきり、
内側から感情で体験します
荒れ狂う波の天の川を前に途方にくれる牛飼い親子。
しかし、小さな女の子の純粋さを通して、ついに奇跡が起こり、織姫と一年に一度会うことを許されます!
 
 
「七夕」伝説に秘められた意図・・糸を織る織姫とは?
 
地上の人間はどうしたら、再び、「天=精神界」と良いつながりをもてるのでしょうか?
オイリュトミーでの体験後、「七夕」伝説に秘められた意図についてシュタイナー的に解釈しました。

・「たなばた」とは、棚機女「たなばたつめ」
(乙女が機織りし、棚にお供えし、秋の豊作を祈る古来の行事)に由来し、七夕の民話は、織姫と彦星の恋物語であるだけではなく、とても深い叡智に満ちています。皇后陛下も、皇居の森で養蚕をなさっていますが、蚕の繭で糸を紡ぎ機織をする・・これらの行為にも象徴的な深い意味があります。
 
「天の虫」と書く「蚕」とは?
・・・・変容する存在の象徴
 
・「天の虫」と書く「蚕」は、初めは毛虫
それがとなってを作ります。
そのままだとになってしまうのを、
お湯に落とし(火の試練)蛾は死んで、繭から美しい絹糸が紡ぎ出されます
私たちの自我もいろんな試練を通して、成長し、変容してゆきます。
 
変容した糸(意図)を織り上げるのが織姫の仕事でした。
 
 
●小さな「我」は死に、ほんとうの私が誕生する
 
ちっぽけなは死んで、光り輝く真我、「ほんとうの私」が誕生する!
 
それは言葉で織り上げられた輝く衣を纏う、新しい人間のイメージなのかもしれません。
 
天の国からこの世に降りて来た天女=織姫のように、幼い子どもたちは、やわらかな羽衣をふんわり纏っています。
 
 
●7歳を機に羽衣を脱ぐ子どもたち

お母さんのやわらかな生命体の覆いに包まれた子どもたちは、七歳を境に次第に羽衣を脱ぎ、地上の世界に足を踏み入れます。

織姫を追って、牛飼いやその子供たちは後を追いかけて、天の国に近づこうとしますが、次から次へと試練がやってきます。
 
 
●本当の自分に出会うための試練
 
でもそれは、本当の自分に出会うための必要な試練でした。
(シュタイナーは著書「いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか」の中で、試練の数々「火の試練、水の試練、風の試練」について語っています。)
 
すべての人間のまえに、成熟を促すさまざまな障害が待ち構えているそうです。
 
そのように考えると、障害や試練も、成長するための神が与えてくれたチャンスだと思えてきますね!
 
暑い暑い夏の日に、参加してくださった皆様、ほんとうにありがとうございました。
今日の「七夕伝説」は会員だけではなく、オープン講座として、水彩講師、保育士、元教員、音楽関係の方、いろんな方が関心を寄せ、参加して下さいました。
経験者も、初めての方も、オイリュトミストも、みんなで一緒に美しい音色の羽衣を、オイリュトミーを通して織ることができたのではないでしょうか。
 
●光り輝くエーテル体「羽衣」
 
そしてこのメルヘン講座を通して、7歳までの幼い子どもたちの羽衣を守ってあげることがいかに大切かを改めて再認識しました。
 
また、大人は、自分自身の新しい羽衣=生命体を、言葉を通して織り上げていかなければなりません