パッヘルベルのカノンで動いた後、みんなで床に並べた木の棒。
放射状の形はまるでお日様の光のよう。そのようなあたたかな時間でした。
 

7/4は、須賀川の一般社団法人そらちね「たお」の皆さんとのオイリュトミーがありました。

ハンディのある方達(19歳から62歳まで)約10名とスタッフが、毎月一回、福島県須賀川市から奏身舎に通われ、グループレッスンをされています。

 

「いつもここに来てオイリュトミーするのを、皆さんとても楽しみにされているんですよ」

スタッフの方の言葉に大変励まされます。

 

精神障害、ADHD、身体障害、発達障害、様々なハンディはあっても、皆さんとのオイリュトミーレッスン後は、いつも清々しさを感じます。また、「音・言」の持つ神聖さとエネルギーが、より確かに感じられます。

皆さんの純粋な心に触れるからでしょうか。

 

始まりは、椅子に腰掛け、まるい輪になっての手遊びや歌から。

なるべく、皆さんがリラックスし自分自身を出しつつ、仲間と楽しめるように。

 

思うようにスラスラ話せなかったり、また、複雑なコミュニケーションが苦手だったりしても、あたたかな輪=和の中で、歌ったり、呼吸とともにボールを投げたり、手を動かして発声することで、「動作の会話」が生まれ、心がはずみます。

「動作の会話」は、単純な手遊びから、徐々に複雑なリズムや法則性のあるものへと変化します。

例えば、隣へ手渡す動きから、一つ飛ばしに投げて渡す。(5人だと五芒星の形を描くことになります。)

また、ゆっくりから徐々に早く、またゆっくりへとテンポを変える。(注意力を高めます)

 

このように変化をつけながら、序としての「歌や手遊び」の時間が終わると、

今度はメインレッスンのオイリュトミーです。

 

懐かしいわらべ歌を歌いながら収縮と拡散。渦のフォルムを内に入っては、外に出る動きをしてから綺麗な輪を作り、今度は子音で足を動かす練習をします。(意識を足まで降ろします)

 

そして母音のIAO「イーアーオー」という響きで、上と下、真ん中を感じ、心身のバランスを調えます。

 

三つの母音の響きで整えるのは、喩えるなら楽器の調弦のようなものでしょうか。

 

昨日は、百人一首よりこんな「夏の和歌」を選び、オイリュトミーで動きました。

春すぎて 夏来(き)にけらし 白妙(しろたへ)の     
衣(ころも)ほすてふ 天(あま)の香具山(かぐやま)           
持統天皇(2番) 『新古今集』夏

「はる」のHという子音は、「晴れやか」「ハレルヤ」「掃き清める」の言にあるようにモヤモヤしたものを一掃してくれる力を持っています。

 

「皆さん、心の中のいや〜なモヤモヤを外へ出しちゃいましょう。」と声をかけて、全員で胸においた両手を

    ッ!

思いっきり外へと開いて、大きく広がりました!

 

大きな輪の、すご〜く爽やかな顔の皆さんをみて、もういちど

「春過ぎて〜♪」

と歌いつつ広がったのでした。

子音「H」の形成力によって開かれた空間の広がりは、心の広がりとリンクします。

 

ただ、面積が広い、のではなく、

内面の空間が無限に開かれていく感覚です。晴れ上がった青空のような、明るく祝祭的な気分。

まさにハレルヤ!と言いたくなるような。

 

音や言の響きで、動きに確かな形が与えられると、

微睡んでいた一人ひとりの精神が目覚め、心が柔らかく拡がると同時に、グループ全体の一体感がイキイキ感じられるようです。

 

他者とのあたたかな繋がりを感じるとき、人は、孤独ではありません。

互いを認め合う場では、非難されることがないので失敗を恐れず、トライしようという前向きな気持ちが自ずと湧いてきます。

 

棒を使って空間把握やリズム練習にチャレンジし、ピアノ演奏でクラシック音楽を動き、パッヘルベルのカノンで締めくくりました。

 

写真の放射状の棒は、その時のもの。すぐに片付けるのが何だか惜しくて、しばらくそのままにして眺め、皆さんが帰ってから一人で片付けました。

 

円の中心に

ぽっかりとまぁるい

小さな空間、

そこにあるのは..?

 

人間の中の聖なるもの

大きな神の中の小さな「私」

 

シュタイナーの言葉が蘇ります。

「円は点になり、点は円となる」