夏至の日、発表会の演目でもある二つの作品をぶどうの会で稽古した。
●「平和の踊り」の稽古
ギリシアの円形舞踊に端を発する「平和の踊り」は「エネルギーの踊り」とセットで稽古することが多い。どちらも輪になって、短短長のアナペストのリズムで二等辺三角形のフォルムを描く。
ただその三角が「エネルギー」では鋭角三角形、「平和」では「鈍角三角形」なのだ。
同じ三角でも受け取る印象が大きく異なる。
まず自分自身の三角形を動くと、今度は大きな全体の輪(和、環)を感じて動く。
自分⇄全体。自分⇄全体。これを定まったリズムでずっと繰り返すのだ。
腕では母音を取っている。足ではリズムを刻んでいる。
(手と足で異なる動きをするのだから、結構難しい。その分、意識は目覚める)
頭だけではなく体と心で、自分と大きな世界、宇宙との繋がりをリアルに感じることを、古代ギリシアでは大切にしたらしい。
そのために舞踊や幾何学が発達したという。確かに、円形や三角などの幾何学図形をきちんと正確に動くのは結構難しい。
目覚めた透明な思考力を要する。
それは客観的な力、自分を離れて見る意識の力だ。
これを教育で取り入れているのがシュタイナーの芸術教育である。
5、6年生にもなると、オイリュトミーでもいろんな図形練習を行うようになる。
子どもの頃、心や体を動かすことを通して、数や幾何学の美しさに出会えたら、もっと数学嫌いが減るのではないだろうか?
私もできれば、子どもの頃に出会いたかったなぁ。
●「ピエ・イエス」
フォーレ「ピエ・イエス」は自分の亡き両親のために、自らが作曲したレクイエム中の珠玉の歌。
甘美な優しさと慈しみに満ちている。
これをオイリュトミーの群舞で舞うのは本当に癒され清らかな気持ちになれる。
個としての私。そして
みんなと、大自然や大宇宙と繋がる私。
どちらも尊い。
どちらも本当。
点と円、その両極を螺旋のフォルムで繋ぎ、踊る。繰り返す律動の中で。
それこそ「調和したリズム=オイリュトミー」!