◉いのち繋がる 調和の8
2011年の3.11から7年目の今日、中学3年生のY君と「アメリカ大統領への手紙」をオイリュトミーで稽古しました。
大人クラス[ぶどうの会]の I さん、Nさんも助っ人で参加して下さり、
「調和の8」のフォルムを大人と中学生が一緒に練習しました。
無限大の記号 ∞「8の字」を、次第に変化させると・・・・
リンゴを縦に割ったような形の「調和の8」が生まれるのです。
内が極まって外になり、
外が極まって内に向かう。
陰陽のマーク☯️のよう!
内・外の両極が、
ダイナミックに融合する不思議な世界!
◉大きな呼吸を感じる調和の8のフォルム
このフォルムを動くと、大きな呼吸の力が感じられます!
そもそも呼吸とは、外の空気が体の内部に入り、内部の空気が外へとでる働き。
ちょうどこのフォルムが滑らかに動けるようになる12歳頃に、
子どもたちの呼吸を司る心肺機能が著しく成長するというから不思議です。
心と体の成長はリンクしている。
そしてこのリンクをより強固にするのが、
シュタイナー教育や、オイリュトミーの役目なのだと思う。
Y君とは、同じフォルムでの「アヴェ・マリア」も練習している。
その練習中に「ここのところは、僕が先生の後ろを動いた方が正しいと思うよ」と、彼から提案された。
◉内側から正しさや真実が感じられるように
「正しさ」を内面で感じ取れるようになったY君の成長ぶりが、正直言って、嬉しかった!
また、教師である私に遠慮なく、「正しいこと」「より良いこと」を
提案できる彼の率直さは、新しい時代の精神から来ているのだと確信した。
単なる良い子は、教師にとって「都合の良い子」だったりも、する。
シュタイナーも、教師には良心の「砥石」が必要だと言っていた。
自分で良いと思っていることが、ほんとうに子ども達の成長に良いことなのだろうか。自己満足なのではないか?思い込みではないか?
砥石で研ぐように、研ぎ澄まされた感性を持たねばならない。
単なる良い子ではなく、自分で考えられる人になって欲しい、と切に願う。
そんなY君と一緒に稽古できるのも18日がいよいよ最後である。
中3の彼は卒業するのだ。
◉アメリカ大統領への手紙
「アメリカ大統領への手紙」は
シアトルのインディアン首長が1854年に、時の大統領へおくったスピーチが元になっているそうだ。
先住民族の多くは、長いこと文字を持たずに、口承で語り伝えて来た。
口承文学には呼吸の力が生きている。
呼吸をともなった言葉、歌には、あたたかな感情の力が息づいている!
だから胸を打つ、訴える力があるのだろう。
大人も中学生も一緒になって発声し、この調和の8のフォルムを動くと、
100年以上昔に、政府との不毛の闘いから、苦渋の決断で、
生まれ故郷を去り、代わりに与えられたインディアン居留地へ不本意ながら赴くことを選択したシアトル大首長の悲しみが、胸にじ〜んと伝わるようだった。
それは、7年前の福島の原発事故で
故郷から避難を余儀なくされた人々の姿と重なった。
私たちは同じことを繰り返している・・・。
なんと愚かなことだろう。
しかし悲しみだけではなく、
どんな時代でも生命が連綿と繋がっていること、
この命の輪を、つながりを忘れずにいて欲しい、
という未来に託す思いと希望もはっきり伝わって来た。
◉命が元気になる言葉を選びたい
言葉は、意味と形と音に分けられる。
赤ちゃんや幼い子どもたちは、優しい響きだけの会話が成り立つ。
成長するにつれ、形(文字)や意味(概念)が、言葉のなかに入ってくる。
すると、言葉のいのちの力は次第に薄れ、知性の力が増してゆく。
毎日発している言葉に、不思議な力があるとしたら、
破壊ではなく、いのちが元気になる言葉を選んであげたい。
Y君と、ピアノを弾いて下さったY君のお母さん、Iさん、Nさん、
ギターを弾いてくれた我がパートナー安齋、
奇蹟のような「今日」を
みなさんと過ごせたことを深く感謝!
パロル舎 刊