💫今日は子どもクラスで8の字をお母さんたちも一緒に練習しました。
大勢で動くとダイナミックでワクワクするような気分がわきおこり、初めて体験した大人も「すごーく楽しかった♪」と口々に。
◉8の字は、水、風・・
「生命の流れ」のフォルム
まるで、
大空を自由に旋回する
鳥になったような・・・
または、
海流に乗り、大洋を泳ぐ
魚になったような気持ち・・・
でしょうか!!
そう、8の字は、生命の流れ、水や風の生きた力を感じるフォルム。
レムニスカートと呼ばれるこのフォルムは、数字の8を横にした∞「無限大」の記号で知られています。
この形は、シンプルかつ、奥深い。
ある人は、動くとすごく気持ちが良い、呼吸が深くなるみたい、といいました。
あまりの心地良さに意識がつい眠り込んでしまいそうですが、
きちんと動いたり、描いたりするのは結構難しく、
片方が小さくなったり、中心から外れてしまったりすることがあります。
その人の心の癖が動きに出るからなのです。
発達障害を持つ子は、交差が苦手な子が多く、このフォルムもうまく動けないことが多いのですが、繰り返し練習し8の字が滑らかに描けたり、動けるようになると、
飛躍的に心と体のバランスが良くなるのです。
◉カタチと叡智
カタチには叡智が生きています。(古代ケルト、アイヌ民族を始め、先住民族の文様文化にそれらが表れています。)
生きたカタチを通して子どもたちのやわらかな心に働きかけ、自然な形で、無理なく頭を目覚めさせていく・・、シュタイナー教育の素晴らしいところです。
◉K君とのエピソード
小学生の授業の後に、中学生のK君とこの8の字を練習しました。
彼には発達障害があり、空間把握がとても苦手でした。
周りの変化に反応しすぎて集中がとても難しかったのですが、大好きな音楽で粘り強く練習を続けていくうちに、みるみるうちに変化が現れ、どんどん目覚ましく成長していったのです。
今もなお、成長を続ける k君の成長ぶりは、私に子どもへの畏敬、
人間の持つ無限の可能性を、身を以て教えてくれました。
彼との授業はとても楽しく、やりがいがあります。
新しい課題を与えるたび、臆することなく、「やってみたい!」と意欲満々。
すぐにできなくても、諦めずに何度も繰り返しトライする彼に頭が下がります。
音楽が大好きな彼とは、オイリュトミーの前にリコーダーでいろんな曲を練習します。そのお陰もあって、繰り返し練習することで得られる喜びを知っているので、苦にならないのです。
楽器は繰り返し練習することで、上達します。それは、人間の精神が身体や感情をコントロールできることの証でもあります。
でも一番素晴らしい楽器は・・・・実は、「体そのもの」なのです!
オイリュトミーの練習は、自分の身体を素晴らしい楽器のように変容させ、
高められ純粋になった魂が、楽器である身体を奏でることでもあります。
最近、度々彼はこんなことを言います。
「以前は、〇〇君にひどいことしたけど、最近はしなくなった。」
「以前は、ギターにいたずらしたけど、今はしなくても済むようになった」
「あんなことしたらダメなんだ。」「でも、今はしないんだ」
と過去の自分をしみじみ省みるようになりました。
確かに、以前は衝動的なところが多々あったのですが、今は彼の自制心の方が勝り、「弱い自分」を客観的に離れて見つめ、打ち勝つことができるようになったのです。
まさに世阿弥の「離見の見」ですね。
この自分自身を省みる力は、どこからやってきたのでしょうか?
◉芸術は「中心を感じる力」を育てる
それは、
中心を感じる力が芸術体験を通して育ってきたからではないかと思います。
今日は、ショパンのエチュード1番で稽古しましたが、何度か方向を間違えてしまい
「そうだ、内側から動くんだ!!!」と声に出していい、
ホワイトボードに
「中から」「内側から」と大きな字で書いたのです。
上が8の字(左右と上下)
下は調和の8のフォルム。
いずれもショパンプレリュード1番のフォルム
内と外の間にあって中心をもたらす力は「自我」の力です。
単なる「我」=自己中心のエゴではなく、オーケストラの指揮者のように、
思考、感情、意志・・異なる構成要素に動的な調和をもたらす精神の力なのです。
太陽系の惑星の中心にあって、惑星の運行に秩序と調和を与え、自ら光と熱を放つ、まさに太陽のような力とも言えるでしょう。