
MONOCLEだ、Wallpaperだ書いたことで、数年前まで私が偏愛していた雑誌を思い出しました。
『eat』
食と食文化をテーマに、人々と食の関わりをさまざまな形で紹介していく季刊雑誌。
”雑誌『eat』は、レシピ紹介やレストラン批評に終始する典型的フード雑誌に対する「アンチテーゼ」として誕生した。
「食」のジャンルにユーモアと機知、そして「情熱」を注いだ同誌は、2002年度の『ワールド・フード・メディア・アワード』で「銀賞」を受賞し、国際的な評価も獲得。
だが情熱と共に予算も注ぎ込み過ぎたため、16号を最後に休刊。”
(出版した会社のサイト http://www.i-eatsite.com/ より抜粋)
たしか創刊号は、代官山のヒルサイドパントリーでアンケートに答えたら、自動的に送られてきたのでした。
まず、しょっぱなのテーマ「誘惑(Temptation)」に目を見張り、その下の「sex、果実、drugs、祝祭、cake」と並ぶ文字にソソラれ、アートワークの強烈さと「タダ」にしては濃い~内容に驚いたことを、今でも鮮明に思い出します。
”誘惑する果実”
聖書の昔から最新のコマーシャルまで。万国共通、新鮮な果物は誘惑のシンボルだ、甘い果実はいかにして、人類をそそりつづけてきたのだろうか。
……なんてイントロで、延々と果物のエロな写真を展開し続けたり、
”ナチュラルハイの世界へようこそ”
ドラッグの、邪悪な世界に誘惑されたことはありませんか。近所のスーパーをちょっと覗いてみてください。そこにはあなたを堕落の道へ誘う品々が、思いのほか揃っているんです。
……なんて書いて、「一部のサボテンにはLSDによく似たドラッグが大量に含まれており、」とか、「スペイン人はマッシュルームを『欲を刺激し、死ではなく狂気を引き起こすもの』として禁止した」等々、嘘か誠か「よく調べたな~」という、普通には何の役にも立たなそうな情報満載でしたが、あまりにヘンテコなアプローチな上に「読ませる」ので、虜になってしまったのです。
その後、「ストリートフード」、「食べ物か、芸術か」、「身体と食べ物」、「ジェンダー」、「パッケージ」、「儀式」、「ブタ」、「発酵/腐敗」、「ペットフード」などなど、
よくもまあ、理屈、屁理屈でネタが尽きない上に、毎度きっちり「食」を軸に、役に立つのか立たないのか判断付きかねる記事を丁寧に丁寧に作り上げるものだと、本気で尊敬しておりました。
そして、こちらとしても、よくもまあ、この雑誌からパーティネタ収集を山のようにさせて頂いたものだった。
現在、我家の本棚には、私が心を込めて一冊ごとに貪り読んだ『eat』が、1号から16号まで整然と並んでいます。
ここに17号が加わることは永遠に無いのか?
せめて、「休刊」の言葉に一縷の望みを託したい私ですが……。