
赤、紫の光に、青、緑の光にまみれ、歌い、弾き、身体を揺らす。
天井に日の丸を吊ったままの八角形のホールは、おもいきり縦ノリの巨大なクラブ空間になる。
フォーキーでソウルでファンクでサイケ、加えてラップな、これぞオルタナティブ。
何故かCDに感じてしまうデジタル感は、ここにはカケラも無い。
彼を中心に歌い奏でるバンドの背後に、彼らの姿、動きを完全に模したキュートなパペット達がライブで操られ、その様を映し出した巨大スクリーンが鮮やかな光を放つ。
佇まいの脱力感は相変わらずも、いつもながらのパーフェクトエンターテイン。
音と映像が混じり合ってホール全体を揺るがせる。
「イカす!」
普段あまりお目にかからない言葉が脳裏を過る。
* * * * *
日本武道館で行われたBECKのコンサートに赴いたわけです。
前に彼のコンサートに出向いたのは、10年近く前の Radio City Hall、それきり。
バラ色のほっぺたをした可愛~い男の子は、流れた月日とともに程よくムサく進化を遂げていましたが、弾き出す音楽は、円熟を加えながらもますます強く、異常にノリ良く、私達を甘美な高揚の坩堝に巻き込んだのでした。
客層は予想通りのワイドレンジで、2、30代を中心に、グランジ系のヤング、パンツスーツのデキそうなOL、サラリーマン、国際カップル、アメリカ人父娘ペアなどなど。
アリーナは「押し合いへし合い」ほどではないナイスクラウドで、前が跳ねようが、横が手を振り上げようが、後ろが吼えようが、むしろ適度な圧迫感は興奮を伝染させ、場のグルーブ感に心地良くのめり込ませてくれました。
しかし、終わる頃には「これが私の最後のアリーナか」と、恨めしく足首をさする自分。
ステージの上には気分良さげに音楽し続けるBECK。
カッコイイ兄さん。
キミだけイカしちゃってズルイんじゃないの、と軽く羨望して嫉妬した、心地の良い月曜の雨の夜でした。