日大アメフト部の危険タックルの刑事事件性と罪の重さ | 海の見える家

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努力して諦めなければ、必ず道があると信じて突き進みます。時を間違えなければ。頑張る時に頑張らなければ、努力は結実しないのです。

まず、加害者としての選手の行為は、刑事告訴状が受理されれば、傷害の罪(刑法204条)に問われます。また、内田正人元監督については、教唆の罪(刑法61条)か共同正犯の罪の何れかが問われるものと思料します。

第60条(共同正犯)
 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

第61条(教唆)
1 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
2 教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。

第62条1項(幇助)
 正犯を幇助した者は、従犯とする。
第63条(従犯減軽)
 従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。

第204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法の条文を抜粋しました。第60条が共同正犯の罪で、第61条が教唆の罪です。

「共同正犯」と「教唆」の違いを簡単に述べると、「主犯と同等の役割を担ったか」、「犯罪行為において単に唆(そそのか)しただけで従属的な役割を担ったか」の違いです。

幇助、教唆、及び、共同正犯と条文が分かれている以上、問題となっている犯罪行為に該当する各罪の成立要件を満たさなければなりません。

まず、教唆(刑法61条)について具体的に成立要件を考察しましょう。
その1 被教唆者(教唆された者)に対して伝えた内容が具体的か
その2 被教唆者にどのように伝えたか

 その1において、「1プレー目でクォーターバックを潰して来い。」「やらないと意味がないから」と、更には、「次の試合でうちが有利になるようにしばらく復帰できないようにしてこい」との旨を伝えられたと、記者会見で、加害者となった選手は、謝罪とともに明らかに証言しました。これは、明らかに指示が具体的であると言わざるを得ません。
 その2において、教唆の方法として、挙げられるのが、「命令」、「脅迫」、「強要」、「指示」等、様々ですが、方法は問わないとされていますので、今回は指示があったと刑事訴訟で証人として一緒にプレーした日大の選手を呼べば済むので、私は、十分な証拠能力があると思料します。

 ここで、「やらないと意味がないから」と、加害者に対して、心理的抑圧を与えて実行させたと立証された場合、幇助(刑法63条1項)にも該当するのです。

 幇助(刑法63条1項)とは、物理的に実行行為を促進する行為(物理的幇助)はもとより、行為者を励まし犯意を強化するなど心理的に実行行為を促進した場合(精神的幇助)(Wikipediaより引用)も、該当するのです。

従犯か正犯かで罪の重さが大きく異なってきます。

幇助(刑法63条1項)及び教唆(刑法61条1項及び2項)が、従犯であるのに対し、共同正犯(刑法60条)は、当該条文が示す通り、正犯です。

次に、共同正犯(刑法60条)の成立要件は複雑で私の手に負えないので止めます。

「共同して犯罪を実行」とは、共同実行の意思(意思の連絡)及び共同実行の事実があることを意味するとされる(さらに、結果犯では結果と因果関係が、身分犯の共同正犯については身分者が1人以上いることが必要である。)(Wikipediaより引用)

実行者は、危険なタックルを無防備な被害者に行った加害者であることは自明です。

試合前から、「(相手選手を秋の試合まで復帰できないほどの怪我を負わせるまで)やらなければ意味がないぞ」と計画的に指示したかが争点となります。

この発言が、共同実行の意思(意思の連絡)であることが立証されれば、内田正人元監督も宇野上コーチも共同正犯となり得ると思料します。

しかしながら、本日になって、週刊誌がオフレコと言って、試合直後の監督から、「うちはエリートがいないから、あれくらいやらないといけない」、「法律的にはダメだけどね」という旨の信じられない肉声が公開されました。

これを受けて、昨日まで同監督が「指示していません」、井上コーチに至っては「指示していません」から記者会見が終了間際になって「覚えていません」と危うくなり、結果的に、全て会見で述べたことが嘘偽りで、加害者と成り果てた選手1人に全責任を負わせようとした謀略は、全て泡と消えました。

結論として、同監督及び同コーチは、保身に走り、加害者だけを、先の記者会見で語った内容を当事者の妄言であるかのように、トカゲのシッポ切りとして、切り離そうとしたことが、後に開かれるであろう、刑事訴訟での公判において、裁判官の心証を激しく害しているのは自明です。上に挙げた2名は、何ら社会的制裁も受けて折らず、全く反省してもいないことから、実刑は免れないと思料します。