本日2度目のこんにちは。

今回も前回に引き続き、フレアについて書きたいと思います。

 

先程はフレアのメカニズムやフレアによる被害、宇宙天気予報について紹介しました。フレアは恐ろしいものだ、と思った方も多いことでしょう。

しかし、実はフレアが私たちの生みの親かもしれない、という説もあるのです。今回はその説について紹介します。

 

現在、生命の誕生については次の2つの大きな問題が言われています。

  1. 過去の太陽は現在よりも活動が弱かったため、地球の海はほぼ全てが凍っており、とても生命の誕生できるような環境ではない(暗い太陽のパラドクス)。
  2. 窒素分子は非常に安定なため、初期の地球の状態では生命の基礎となるDNAやRNAを作ることができない。

これら2つの謎を解く鍵がフレアにあるのではないか、という論文が昨年(2016年)に出ました。若い頃の太陽は現在ほどエネルギーを放出していないものの、現在よりもはるかに大きなフレアをしばしば起こしており、これによって大量のプラズマ粒子が放出され、地球大気中の窒素と以下のような様々な化学反応を起こしたとする説です。

 

正直に言うと私はこの図にある1つ1つの化学反応までは詳しく知らないのですが、とりあえず注目すべき点はN2OとHCNという2つの物質が生成されていることです。

N2Oは一酸化二窒素(亜酸化窒素)と呼ばれる化合物で、二酸化炭素の300倍という強烈な温室効果を持ちます。従って、太陽から届くエネルギーが小さい初期の地球でも、この強烈な温室効果ガスが存在すれば海が凍る心配がなくなります。

HCNはシアン化水素と呼ばれる化合物で、重合することによってアミノ酸やタンパク質を生み出すことができます。これをきっかけに生命の素となる物質を次々と生み出すことができるのです。

確かに、太陽フレアが生命誕生に大きく関わっていそうな感じがしますね。

 

以上の説はまだ仮説に過ぎませんが、現在の文明社会にとって大きな脅威である巨大フレアが実は私たちの“母”であったとしたら、非常に面白いことだと思います。今後の検証に期待しましょう!

 

ではでは今回はこの辺で!

 

Reference:V.S. Airapetian et al. Prebiotic chemistry and atmospheric warming of early Earth by an active young Sun. Nature Geosci. 9, 452-456 (2016).

 

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