ついに、今学期の実験が終わりました!

「理系は実験が大変らしいね」と親戚や近所の方からは言われることが多いですが、確かにレポート作成や発表資料(Power Point)の作成は大変でした。でも実験そのものはとても面白く、あまり苦ではありませんでした。

私たちの学科では実験が週3日、午後にあります。テーマは弾性、電気回路、分光、顕微鏡、熱・真空の5つで、各テーマについて7日ずつ実験を行っていきます。

これから数回にわたって学科で行った実験について書こうと思います。細かい話は一切せず、「こんな実験からこんなすごいことが分かるんですよ!」という話に終始するつもりです。理系ってこんなことやってるんだ〜となんとなく分かっていただければ。

 

今回は最初に行った弾性実験について書きたいと思います。

 

弾性実験では材質の異なる直方体の試料いくつかに対し、1つの面から縦波や横波を入れたときに反対側の面から出てくる波を検出し、縦波・横波の特性や岩石の性質を調べました。

横波は海の波と同じように進行方向と垂直な方向にうねうね揺れながら進んでいく波のことで、縦波は進行方向と同じ向きに振動しながら進んでいく波のことです(ハトが首を前後に動かしながら歩いているイメージです)。

試料中に波を入れるのには「圧電素子」と呼ばれるものを使います。圧電素子は衝撃を電流に変えたり、逆に電流を流すと細かく揺れる素子です(より厳密には、電流値に応じた大きさの変形をする素子であり、交流電圧をかけると振動します)。実はチャッカマンやライターのスイッチの部分には圧電素子が使われており、手でスイッチを押した衝撃で小さな火花を散らし、中の燃料に火をつけているんです!

 

実験では、直方体の試料の向かい合う面に1つずつ小指の爪くらいの大きさ(厚さもちょうど小指の厚さくらい)の圧電素子を貼り付け、機械を使って片方の圧電素子にほんの一瞬だけ電流を流します。すると、片方の圧電素子が一瞬だけ細かく揺れ、その揺れが試料中を伝わって反対側の圧電素子も細かく揺れます。この揺れによって2つ目の圧電素子からは少しだけ電流が出るので、オシロスコープという機械でその電流を読み取ります。実験はこれでほぼ完了です。

 

この実験で、例えば波を入れた時刻と反対側の面から波が出てきた時刻を比較してみると、試料の中を波が進む速さが 試料の厚さ÷時間差 によって計算できます。

これを縦波と横波の場合で比較してみると… 縦波の方が倍近く速いことがわかります。

さらに、入れた波の振幅と反対側から出てくる波の振幅を比較してみると、縦波の場合は横波よりも振幅がずっと小さくなって出てくることが分かります。

 

実は、この実験から地震波の性質が分かるのです!

地震波として有名なものにP波とS波がありますが、P波は縦波、S波は横波という違いがあります。ということは、先ほどの実験結果からP波はスピードが速いが弱くなりやすく、S波はスピードが遅いが弱くなりにくい、ということが分かります。

P波の方が先に到達するが、後から来るS波の引き起こす地震の方が強い、という事実と綺麗に一致しますね!

 

ちなみに、地震のときにはP波、S波以外にもRayleigh波(レイリー波)やLove波(ラブ波)という波も出ており、これらの波はS波よりもさらに弱くなりにくく、地球を一周駆け巡ることができるくらいです。元々が大して強くないため被害を及ぼすことはありませんが、震源からかなり離れた場所の地震計でも観測されるなんて、面白いですね!