芝犬を飼っていた近所のご婦人。
イナが初めて出会った犬友達。
彼女は私より10歳以上年上だが、高齢の母親の介護をしながら2人暮らしをしていた。
いつも明るく元気で、話し出すと止まらない。いいとこのお嬢さんで、犬の散歩に行くのにも、ブランドのサングラスや大粒のパールの指輪をしているひとだった。
高級官僚の家に生まれて、兄弟も高学歴なのをよく口にしていた。
犬を亡くし105歳で実母も亡くし、一人暮らしをしていたが、たまに会っても元気で自転車に乗っていた。
大病をしたのも聞いていたが、深刻そうには話さずはははーと笑いながら話すひとだった。
今日はたまたま、彼女の家の前に建つマンションに住む方に会った。
「知ってる?Kさん、6月に亡くなったのよ」
えー。
えー。
信じられない。
つい最近?でもないけど、会っていたのに。
1週間入院したが手遅れで緩和ケア病院に転院して、そこで亡くなったそうだ。
大きな平屋はもう誰も住まなくなってしまった。
兄弟が存命なので、その方たちが葬儀などは取り仕切ってくれたらしい。
誰も住んでいないその家に、彼女のお骨は水も花も香も供えられずにあるそうだ。
納骨までは。
続く