左手中指に、血豆がある。

もともとは、爪の付け根あたりにあったのだが、日にちがたって先へと移動してきた。



これはまだ元気がある頃、食欲が落ちて薬が飲めなくなり、動物病院で薬の与え方を教わっている時に噛まれたのだ。


心臓の薬は細かく砕いてチュールに混ぜて与えていたが、チュールを受け付けない時があり困っていたのだ。

最後までこの食べ物の好き嫌いには悩まされた。最後にはもう、薬の味がしてチュールを食べないのなら無理に薬を混ぜるのはやめた。

食べられるものなら、なんでも与えた。




この血豆が私の指先から消えるまで、イナは居てくれるかなと思ったがかなわなかった。

それでよい。

桜を待っていてくれたから、本当にそれで良い。

泣き暮らす覚悟だった毎日は、ただぼんやりと何もしないまま時間がゆるゆると過ぎていく。

感情の波に揺られないように、毎日のルーティンだけを淡々とこなす。


今はそれでいい。