その一軒家にひとりで住む犬友達は、独身で、長らく実母と犬と一緒に暮らしていた。

犬を亡くし、その数か月後に母親も亡くした。

100歳を超えた母親を彼女は自宅で介護していた。

 

おうちの玄関には鎌倉彫の絵がいくつも飾られていたが、きけば彼女が趣味で彫ったものだという。お部屋に通されたところ、大きな三面鏡も大きな座卓(足の部分)も、みんな彼女の彫ったもの。素人臭さのない、ほぼプロの仕事の作品だった。

亡くなったお母さまのベッドはまだ、きれいなままその部屋にあった。

30数年前に建てたという注文住宅は、バリアフリーでお風呂場も見せてもらったが、きれいなタイル張りでカビも生えていない。とても丁寧に手入れされている。

ご自身も癌も経験されているのにめまいも毎日のようにあるというが、その生活は本当に細やかに手入れされている。

私には到底真似できない。

 

犬の散歩にも、彼女はシャネルのフレームのサングラスをかけ、大きな金色の真珠の指輪をはめて歩いていた。OL時代のものかもしれないが、こんな地方都市でそんないでたちで犬の散歩をしているひとは見かけない。

 

お散歩していた頃にも、親が官僚で東大出身であったこと。姉も弟も甥も東大を出ていることをよく話していた。(今回お邪魔しているときもその話しをしていた)

犬のかかわりがなければ、たぶん知り合いにもならなかったであろう、育ちの違うマダム。