やなせたかし著「アンパンパンの遺書」を読んだ。とても面白かった。やなせたかしによる自叙伝である。やはりアンパンマンの作者としての印象が強い作者本人のほぼ一生を辿るのはとても興味深かった。

 本屋を巡回してふと目に入ったタイトル。そしてよくある他人による「アンパンマン」という作品が社会に与えた影響についての考察本だと思って手に取った。しかし、著者をみるとアンパンマンの作者本人であることに気づき、逆に内容が気になった。実際に読んでみるとこれが面白い。序盤のみを読むと「あんぱんまん」が生まれるなんて想像できない時代を生きている。しかし、実はこれが後半に行くにつれて「あんぱんまん」出生の核になっていることに一種の感動を覚えた。

 そういえば、アニメのアンパンマンの主題歌について、作詞はやなせたかし本人であるが子供向けのアニメにしては難しいと思ったことはないだろうか。「何のために生まれて、何をして喜ぶ」なんてフレーズはとてもその代表だと思う。この本を読めば、実はこの謎が解けるのだ。

 「愛と勇気だけが友達さ」の歌詞が気になる人はご一読を勧める。