前回に引き続き、幼児の発音について。
正しい発音は、発達に従って6歳前後にかけて徐々に身に着けていくものです。
およその目安は前回の記事に載せました。
話し始めた2歳からハッキリ話す子もいますし、個人差の大きいところですが、4~5歳までは『正しい音を耳から聞いて自分の口を動かして発音する練習中』と思ってもらってよいと思います。
ですので、親を含め、周りの大人が正しい発音を聞かせてあげることが大切です。
もし習得しているはずの年令になっても正しい発音ができない場合には、
①耳の聞こえに問題がある
②発音するための器官や機能に問題がある(舌小帯が短い等)
③ことばの環境に問題がある(親の声かけなど正しい音を聞く機会が少ない等)
④知的発達や情緒の発達など発音以外の発達にも問題がある
が原因として考えられます。
呼びかけても振り返らない、など聞こえに心配がある場合は、まずは聴力検査をして聞こえの状態を把握します。
また、舌小帯と呼ばれる舌の裏にある筋状の膜が生まれつき短い子がいますが、成長によって変化していくので、乳幼児期に短いからといって必ずしも正しい発音ができないわけではありません。ただ、舌小帯が短いために舌をうまく動かせない場合は発音に影響しますので、ある程度訓練しても改善しない場合などは4,5歳以降に舌小帯を切る手術をすることもあります。これは歯科健診などで小児歯科に相談してみるとよいでしょう。
知能や情緒を含め、発達全般がゆっくりの場合は、発音の発達にも遅れが見られることが多いです。舌の筋力や使い方が未熟であれば当然正しい発音には結びつきませんし、上記の表で見るときも実際の年令ではなく発達年令において正しい発音が獲得できているかどうか見る方が妥当です。
そのような原因も踏まえ、トレーニングが必要な場合は、年令相応の発音が身についていないときです。
例えば、5歳でカ行が言えず「タラス」(カラス)「ドト」(5コ)などと聞こえてしまう場合、6歳を過ぎてもカ行、サ行が言えず「シェンシェイ」(先生)「タヨウナラ」(さようなら)などと聞こえてしまう場合などは、発音の仕方について指導を受けてもよいと思います。
自分の言いたいことがうまく伝わらないために、落ち着きがなかったりかんしゃくを起こしたりあまり話さなくなってしまうような場合や、友達からからかいの対象になっている場合など、発音が上手にできないことから二次的な問題が生じることもありますので、そのようなサインがあるときには早めに指導を受けた方がよいでしょう。
4,5歳児以上で心配な場合は、幼児向けのことばの相談室・教室があればそこへ(小学校内の「ことばの教室」で幼児も対象にしている地域もあります)、なければまずは保健センターや子ども発達支援センター、幼児のための心理発達相談など、医療機関であれば耳鼻科(聞こえが心配な場合)、小児歯科(舌小帯が短いと指摘されたことがある場合)、発達外来などに相談してください。
言語聴覚士(ST)や「ことばの教室」「構音訓練」の経験のある方に診てもらえると安心ですね。
小学校に上がると、誤った発音が文字を書く時の間違いにつながりやすいため、「ことばの教室」(通級指導教室)を勧められることもあるかもしれません。
実際にことばの相談に行って何をしてもらえるのか?というと、それはそのお子さんの苦手なところを評価してから個別に検討されるので、一概にコレとは言えません。
発音だけに問題がある場合は、前回紹介したような口・舌を動かす遊びや体操をしたり、先生の正しい発音を繰り返して徐々に正しい発音に近づけていったり、苦手な音を正しく出せるような「構音訓練」が中心になります。
できるだけ頻繁にトレーニングすることで、早ければ2,3か月~半年くらいで正しく発音できるようになる例も多いです。
ただし、構音訓練は家庭での毎日の練習も重要なので、「構音訓練」で教わった口・舌の体操などを自宅でも親子で毎日取り組むことが近道です。
週1回、月1回など、トレーニングに行った時だけ頑張ってもなかなか治りません。
また、発音を気にして相談に来られた方の中には、よくよく話を聞いたり簡単なことばの検査をしてみると、発音だけではなくことばの理解全般に遅れがみられる場合も少なくありません。
幼児の場合は、簡単な受け答えができてよくしゃべる子だと、周囲の大人はなかなか理解度までは考えないものですが、年中・年長になると年齢相応にことばの理解ができているか?ということも大切です。
語彙が少ないのか、状況を説明・表現する力が不足しているのか、絵を見るとわかるけれど耳から指示を聞いて理解することが難しいのか…ことばの理解にもさまざまな側面がありますが、それは詳しい検査をしてみなければどこにつまづきがあるのかはわかりません。
ことばの理解の面で遅れがある場合は、もちろん発音の習得に遅れがあっても当然のことで、まずはことばの理解を促すようなトレーニングを行ないます。
例えば簡単なルールで遊べるカードゲームや、しりとり、ひも通し、お話づくりなど、先生の指示を耳で聞いて理解して取り組むことができるか、手先を使って指示通りに動けるか、などを見ながら指導していきます。
これらの構音訓練、言語療育は、つみ重ねです。
一朝一夕で習得するのは難しい場合もあり、トレーニングに通うのも、自宅での取り組みも、根気よく続けることが必要になります。
もしお子さんの様子で気になる点がある場合には、トレーニングに時間をとれる就学前に相談しておくことをお勧めします。
学校に上がると、それらのことばの土台を基にして学習が始まっていきますので、土台作りはお早めに…。
最後に、ワタシが息子の発音で悩んだときに参考にしたサイトをお知らせします。
国立特別支援教育総合研究所による「親子で学ぶ発音教室」
http://forum.nise.go.jp/oyakotoba/htdocs/