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グレゴール・ヨハン・メンデル Johann Gregor Mendel( 1822 -1884)

「親と子供はなぜ似るのだろう」

昔からのこの疑問を、有名なエンドウマメの実験で解明したのがグレゴール・ヨハン・メンデルです。

メンデルは、1822年7月20日オーストリアの果樹農園に生まれました。
子供の頃から両親の仕事を手伝い、花に飛び交うミツバチの観察をしたり、果樹木の接ぎ木の工夫をしたりと、未来の植物学者を予感させるような、そして楽しい幼年時代を過ごしました。

ところがメンデルが17歳の時に転機が訪れます。父親が大ケガを負い、農園業が立ち行かず、家計が苦しくなってしまったのです。そこでメンデルは修道院に入ることを決意します。
その修道院には哲学者、数学者、鉱物学者、植物学者が在院しており、学術的な研究や教育が行われていました。
そして司祭の勉強をしながら、大学を卒業し、ギナジウム(中等学校)で数学とギリシア語、自然科学を教えるようになりました。
のちに上級教師の資格試験を受けますが、不合格。

「上級教師にはなれなくても、研究はできる」

メンデルは、修道院の庭に草花を植えて、例えば「白い花が咲く種から赤い花が咲くのはどうしてか?」という研究を始めました。
そして、ダーウィンの「種の起源」から、草花の代わりにエンドウマメを植え、交配による遺伝の研究を始めました。遺伝には何らかの法則があるに違いないと考えたからです。

花や実の色や、樹木の高さが異なる34種類のエンドウマメを植え、その花粉をピンセットで人為交配させ、収穫した種をまた植えるという交配実験を1853年から1886年まで行いました。

そこで種子の形状や背の高さなど、いくつかの表現型に着目し、数学的論理によって「メンデルの法則」と呼ばれる法則(優性の法則・分離の法則・独立の法則)を発見したのです。
メンデルが発表したエンドウマメの7つの表現型はすべて独立遺伝で、2n=14。
すなわち染色体が対であること、独立、連鎖についても、既にこの時、理解を深めていたと推測されます。

1865年「Versuche über Pflanzen-Hybriden(植物雑種の研究)」40ページもの論文を発表。ところが無名のメンデルの学説に注目は集まりませんでした。
気象学者としての評価は高かったようですが、長年をその研究に費やした「メンデルの法則」は、ついに日の目を見ないまま、いち修道院長として、1884年62歳でこの世を去りました。

メンデルの遺伝の法則が世界でみとめられたのは、それから16年も後のこと。
1900年ユーゴー・ド・フリース、カール・エリッヒ・コリンス、エリッヒ・フォン・チェルマクらにより再発見され、ここで初めて「メンデルの遺伝の法則」の研究成果が承認されることになりました。
実験を続けた聖アウグスチノ会の修道院には、メンデルの像が建てられ、現在では「遺伝学の祖」と呼ばれています。

Brnoという小さな町の修道僧として一生を送ったメンデルが、なぜこのような歴史に残る偉業を遺せたのか?と考えました。
わたしはメンデルが執拗なまでの実験を繰り返し、正しく記録を残す「実験→結果→記録→説明」に終始し、「例外ない法則」を見つけ続けたということにヒントがあるようにと思います。
彼の人的評価を、残された資料から推察すると、そこには功名を得ようなどという邪心はなかったと確信します。

貧困のために修道会に入りましたが、当時の修道院はあらゆる専門的高等教育を授けてくれ、多くの学者、教師を輩出していました。
メンデルは貧しくても勉強を続けられるこの環境に進んで向かったようです。
環境は人を作るとも言われていますが、その環境を求め作るのもまた、人自身なのではないかと改めて考えさせられました。

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Dominant and recessive phenotypes. (1) Parental generation. (2) F1 generation. (3) F2 generation. Dominant (red) and recessive (white) phenotype look alike in the F1 (first) generation and show a 3:1 ratio in the F2 (second) generation
Originally from en:Nupedia, by Magnus Manske
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Two traits (black/white and short/long hair, with black and short dominant) show a 9:3:3:1 ratio in the F2 generation. (S=short, s=long, B=black, b=white hair)
(1) Parental generation. (2) F1 generation. (3) F2 generation.
Results : 9x short black hair, 3x long black hair, 3x short white hair, 1x long white hair.
Originally from en:Nupedia, by Magnus Manske