以前書いた「塚本喜左衛門さんのお話」 、第2回目です。
塚本喜左衛門さんから頂戴した、「わたしの五個荘むかし話」からの抜粋です。
<ヒゲのおじいさんはお葬式好き?>
村にお葬式があるとき、必ずヒゲのおじいさんの姿があった。
白い長いヒゲを蓄えたわたしの祖父。優しいおじいさんは、村の子どもたちの人気者。子どもたちの間では「サンタクロース」というあだ名がついていた。
村長をした甲斐性もんの曽祖父に較べて、ヒゲのおじいさんのほうは人柄がよすぎて損ばかりしていた。
雨の日も、風の日も、村八分にあった家のお葬式も、しっかりもんのおばあさんがいやがるのも聞かず、ヒゲのおじいさんは欠かさず杖をついて参列していた。みぞれの降ったある日にも、おばあさんの制止をおとなしく聞くふりをして、こっそりお葬式に出て行ったっけ。
そんなおじいさんにも、自分のお葬式の番が巡ってきたとき、村中のひとがあちこちからやってきて、お焼香のひとでいっぱいになった。
ひょっとして、これがヒゲのおじいさんの「世間よし」だったのかな。
このお話、いろいろなことを考えさせられますよね。
商売人にとって、信用って大切ですが、それ以上に人徳って大切だと思います。
事業の承継だけでなく、こういう精神も承継されてるからこその現在なのでしょうね。