うるさいちゃんが、ちょっと他の子と違うな~

と、一番最初に気がついたのは、保育園の年少の頃。

参観日で、制作をしていた時のことだった。

うちの保育園では、日頃の遊んでる様子の他に、

折り紙や、七夕の飾り、おひなまつりの人形、サンタさんからのプレゼントを入れてもらう袋・・

などを作っている様子を参観する。


先生がまず、前で子供たちに説明する。

大抵の子供は、その説明でわかり、一人で作業に入る。

だけど、うちのうるさいちゃんは、ボケ~~としていて、なかなか作業に入らない。

みんながやってるのを見て、見よう見まねでできる事はまだいい。

それさえできない時も多く、

最後には、自分だけできなくて不安になり、泣き出した事もあった。


もちろん、先生はうるさいちゃんのフォローはしてくれる。

だけど、何十人もいるのに、彼女一人に付きっきりでは教えてやれない。

傍へ行って、こうしてごらん・・・と教えてやりたい気持ちをグッといつも堪えていた。




うちの保育園は、体操教室の先生が、週に一度出張してきて、

マット運動や跳び箱等を指導してくれ、

この体育の時間の参観も年に2回ほどある。


運動神経は特に心配はしていないので、体育の参観は毎回安心して見ていた年長の時の事。

その日は、室内での跳び箱の参観だった。

目立って下手なわけでもなく、目立って上手いわけでもないはずなので、

特にハラハラもせず、リラックスして見ていたら、

狭い室内での運動で、

跳び終えた子が列に戻ろうと逆を向いて走ると、

跳ぼうとして走って来る子と正面衝突する事を心配した先生が、

「跳び終わったら、大きく外側を戻るように・・・」と、説明した。


私はこの時、

「うるさいちゃんには、この程度の説明では理解できない・・・」

と、すぐに思った。

案の定、うるさいちゃんは先生が言ったルートを通らずに、

まっすぐ普通に列へ戻って行った。

体育会系の男の先生の声は、大きい・・・

「こらーーーーーーーーー!!うるさいチン! そっち通ったらアカンって言うてるやろーー!」

うるさいちゃんの顔がパッと変わった。

不安で、自分が何に注意されたかわかっていない顔・・・

   ダメ・・・まだわかってない・・・また同じとこを通って同じミスを繰り返す・・・

また、うるさいちゃんの順番。

やっぱり・・・「こらーーーー!」

   ダメ、ダメ・・・まだわからない・・・・

   みんながどこを通って列に戻ってるかなんて、あの子は気がつくような子じゃない。

だんだん、うるさいちゃんの目に涙がたまってきて・・・


担任の先生がうるさいちゃんの泣きそうな顔に気がついて、

「どうしたーん?うるさいちゃん、なんで泣いてるの~?

 さっきまでニコニコやったや~~ん・・・」

と、心配して声をかけるも、保育園児に「なんで○○先生が怒ってるのか意味がわからない」

なんて、説明できるはずもない。

声をかけられて、もう彼女の涙は止まらない。

ついでに私の涙も止まらない。

参観が終わって、保育園を後にするまで、私の涙もうるさいちゃんの涙も止まらなった。



彼女の不安な気持ちが伝わって来て、かわいそうだと思う気持ちと、

他の子は簡単に理解できることでも、うるさいちゃんには理解できない現実を突きつけられたショックとで、

後から後から涙が湧いて出てきて困った。




そんな頃、チャレンジの入学準備講座をはじめた。

6歳児に合わせた内容のはずなのに、何ひとつ自分で解けなくて、

   ものすごおおおおおおおおおおおく頭が悪い

と、うすうす気がついたいたが、確信に変わった。


読み書きは普通にできるものの、

特に数字に弱かった。

1+1=2

1+2=3

ここまでは、すぐにわかった・・・と言うか覚えた。

+1 の答えが、ひとつ大きな数字になるだけだって事を理解させるのに、

1年生の夏休みの間、どれだけ毎日教え続けたことか・・・。


答えが5までの小さな数の足し算が、

一学期が終わっても、ブロックを使わないとできなかった。



    この子は学習障害だ


私は目の前が真っ暗になって、ノイローゼになってたと思う。

朝の9時から夕方の6時まで、殆ど休憩もさせず、勉強させた。

  この子の将来はどうなるんだろう・・・
  高校に行けるのか・・・
  就職できるのか・・・

一度だけ、「一緒に死のう・・・」と、言ったこともあった。

もちろん、本気ではなかったけど、思わず口に出してしまうほど、

私は追いつめれれ、苦しかった。



私の姉の子もまた、

同じような感じの子で、

「LDのグレーゾーンにいます」と、診断を受けたことがあった。


私は姉に電話し相談した。

「くもんに行かせてみたら?」


「塾にはやりたくない。あの子は自分だけ出来ないって感じたら不安になって、泣いたりすることがあるから、

学校で不安になって、塾でも不安になってると思うとかわいそう。私が何とかサポートしないと・・・」


「くもんは自分のペースで進めるし、何回も何回も同じ事を繰り返してやるから、

 娘の塾の先生が、くもんの方が向いてるかもしれません・・・って言うほどよ。

 私も何カ月が通わせたことがある。 

 だけど、助手の先生が自分の子供を連れて来てたりとかして、

 集中できないって言うから、すぐ辞めさせたけど、試しに通わせてみたら?」


と、勧められて、

   自分のペースで進むなんて、絶対うるさいちゃんはなかなか進まなくてミジメな思いをする

と、思ったが、自分一人で勉強させることに限界を感じていたので、

近所のくもんに、即電話した。


親子で面談・・・との事だったが、私は先生と二人で話したかったので、

特別に時間を割いてもらって、うるさいちゃんの面談のあと、

私は一人で先生のもとへ向かった。


保育園の頃から、他の子と比べて、理解力が乏しいこと。

LDを疑ってるいること。

できない・・・どうしよう・・・と、すぐに不安になるタイプであること。

話しながら、やっぱり私は少し泣いてしまったけど、

夏休みに入った時には、+1 もできなかった子が、

夏休みが終わろうとしていたこの頃には、

答えが10になるまでの足し算引き算なら、

普通の子より早いスピードで答えるようになっていたので、

先生から

「お母さん・・・頑張られましたね・・・・」

と、言われた。

  

  やらせすぎ、かわいそう

そんな言葉をまわりから言われてたので、

「頑張られましたね・・・」と、声をかけられた時、

伏し目がちに話していた私は、ハッと顔を上げた。


この人は、私たち親子を理解してくれる・・・

そう思った私は、以来この先生に絶大な信頼を寄せている。







学校生活に話を戻します。

一年生の時の担任は、29歳の女性でした。

うるさいちゃんは、若いお姉さんが大好き。

おまけに美人。

褒めて伸ばす、いい先生でした。

でも、私に対しては、年上の保護者だからか、

気をつかって話されていて、

うるさいちゃんにとっては最高の先生でしたが、

この先生によって、特に救われた言葉はなかったかな。

でも、いつも、うるさいちゃんの事を「優しくていい子」と言ってくれて、

私を喜ばせてくれた。



二年生の時は、新任の女性。

明るくて、元気がよくて、熱心なんだけど、やっぱり新任。

子供たちを、型にはめようとするタイプの先生でした。

よく電話もかかって来ました。

   そんな事でいちいち電話してくるのか・・・

と、思いながら、

「そうですか~、すみません・・・。よく言っておきます」

つまらない事と言ってはダメなのかもしれないけど、

子供同士なら、よくありがちな・・・去年の先生なら、こっちがどうにかして・・・

と、連絡帳に書いても「しばらく様子をみておきます」

と、スルーされがちだったようなトラブルで、何度も謝った。


「私も、うるさいちゃんにはいい子になってもらいたいんで・・・」

と、言われたこともあった。

「は~、は~」

と、相槌をうちながら、

  この先生は、うるさいちゃんのことを、いい子だって思ってくれてないんだな~

と、感じた。

親としては、去年の先生は「いい子でかわいい」って、い~っつも褒めてくれたのに、今度の先生は・・・

と、あんまりいい気分ではない。





つづく・・・