日本酒、ビール、ウイスキー、ワインなどのエチルアルコールを含む飲料全般を指して酒といいます。
酒は人類史において最古から存在する向精神薬の一つです。
「酒は百薬の長」と言われてきました。
酒の歴史は古く、有史以前からつくられていたと見られています。
2004年12月中国で紀元前7000年ごろの賈湖遺跡(かこいせき)から出土した陶器片を分析したところ、米・果実・蜂蜜などで作った醸造酒の成分が検出されたという報告が、最古のものです。
古代オリエント世界では、紀元前5400年頃のイラン北部ザグロス山脈のハッジ・フィルズ・テペ遺跡から出土した壺の中に、ワインの残滓が確認されています。紀元前3000年代には、シュメールの粘土板にビールのことが記録されています。シュメールの後を継いだバビロニアで、最古の成文法であるハンムラビ法典の中にビール売りに関する規定が記されています。エジプトでは紀元前2700年頃までにはワインが飲まれていました。ツタンカーメン王の副葬品の壺からはワインが検出されています。ビールも広く飲まれていました。ピラミッド工事の労働者たちにはビールが支給されていました。オリエント世界ではブドウの育つ場所が限られるので、ワインは高級な飲み物であり、ビールはより庶民的な飲み物でした。
中国において殷・周のころ、酒は国家の重要事である祝祭において重要な意味を持っていました。『論語』には、「郷人で酒を飲む」などの記述があり、紀元前5世紀頃には一般的な飲み物になっていました。ギリシア・ローマは、ブドウの産地ということもあり、ワインが多く生産されていました。アンフォラと呼ばれる壺に入れられて、地中海世界で広く交易されていました。酒の神ディオニソス(ローマではバッカス)が信仰され、酒神を讃える祭りが行われていました。
10世紀以前には蒸留酒が発明されていました。それは錬金術師が偶然に作り出したものだといわれ、蒸留酒はアクア・ヴィテ(生命の水)と呼ばれていました。それが変化してフランス語でオード・ヴィー、ゲール語でウシュクベーハーになり、今日の様々な蒸留酒の区分ができました。
1171年ヘンリー2世の軍隊がアイルランドに侵攻しました。その時の記録によると、住民は「アスキボー」という蒸留酒を飲んでいたという。これが「ウイスキー」の語源となりました。
沖縄(当時は琉球)では、若い女性が口の中で噛み砕いた木の実を唾液とともに吐き出し、それを醗酵させた「口噛み酒」なるものを中国の使節へ供したという記録があります。
世界中に酒はあります。
一番おいしいのは、どれかなと思いを寄せます。