「身近なUFO」




世の中には、空飛ぶ円盤と呼ばれるものがあります。



未確認飛行物体(UFO)といわれるように、正体は知られていないのが普通です。



ところが中には、目にする人々が気付いていないだけで、とっても身近な空飛ぶ円盤があります。



およそ街と呼ばれるところで暮らしていれば、まず目にしない日はないのですが、あまりに身近すぎることと、まさか空など飛ばないだろうという固定観念のため気付かれずにいます。




鉄で出来ていて重いし、いつも同じ場所にじっとしていて動かないのが普通なので無理もありません。




けれど、かなり特別な状況下では実際に飛んだ例があり、それもかなり高く飛んだという話もあるのです。






街を歩けば必ず目にする、マンホール(のフタ)。




重さ数十kgもあるこの鉄の塊は、実は宙を舞うことがあるのです。



ひとつ目の特別な例は、レーシングサーキットです。



車高が低く、路面に貼り付くように高速で走り抜けるレーシングカーは路面と車体の間に真空状態を生みます。


そのため、都市部で行うレースの際にはマンホールを固定しておかないと浮かび上がってしまい、飛んだマンホールが後続車に激突して事故を起こした例があるそうです。




もうひとつはさらに特別な例で、大規模な爆発実験です。



地下で起こされた大爆発がマンホールの蓋を押し上げ、何と宇宙空間まで押し上げた(と言われている)例があるそうです。



こうなるとまさに、身近なUFOといえるでしょう。




街で目にするマンホールが空を飛ぶことはまずないと思いますが、置かれる場所によっては宇宙に飛び出す可能性すらあったのです。



最近のマンホールには、町興しなどの目的で様々な意匠が凝らされる例があり、写真に撮って収集する人もいると聞きます。



今度マンホールを目にしたら(恐らく毎日目にすることでしょうけれど)身近なUFOの話を思い出してみてはいかがでしょうか。





▼もうちょっと知りたい!という方はどうぞ↓


※1950年代に地下で核実験を行った際にマンホールが空中に打ち出され、そのまま発見されなかったことから宇宙まで飛んでいったといわれています。


正体はマンホールと分かっているのですが、落ちてきたかどうか未確認ということで、UFO(未確認飛行物体)と呼ぶことができるでしょう。


ちなみに、速さは充分だったものの速すぎて空気との摩擦で蒸発してしまったという見方もあるそうです。



▼オマケの話


※UFOは「Unidentified Flying Object」(アンアイデンティファイド・フライング・オブジェクト)、「未確認飛行物体」の頭文字をとったものです。


※日本では写真に撮られるだけですが、国によっては蓋が行方不明になることがあります。


鉄の価格が高騰した際に「道に金目の物が置いてある」と見えたようで、2004年の中国では年間24000件もの蓋が盗まれたそうです。




▼これであなたも物知り博士?


「古代ローマ時代のマンホールのフタだったものが発掘され、ちょっとした観光名所となっているものがあります。それは?」

(選択肢なしの問題です)











答え:「真実の口」


映画「ローマの休日」に登場したことでも有名で、嘘つきが口に手を入れると抜けなくなったり、食いちぎられるなどと言われます。




▼ものがたりに学ぶ、今週の教訓


「飛べないフタはただのフタ。」




それでは次回の更新をお楽しみに!





「出世豆」



昔、日本では、武士たちが成長や出世に伴って名前を変えました。



大きくなって世に出ていくに従い、新たな立場にふさわしい名前をつけていったのです。


そしてそれになぞらえて、成長と共に名前の変わる魚を出世魚(しゅっせうお)と呼び、縁起の良いものとしてきました。



実は、人や魚だけではなく植物界にも、世に出るたびに名前の変わるものがあります。



ひとまず、出世豆(しゅっせまめ)としておきましょう。




出世豆が世に出るのはとても早く、生まれてすぐの場合もあるのですが、小さい頃はあまり評価されず安く買い叩かれ、悪い意味の例えに使われることもあります。



大きくなってもまだ本来の名では呼ばれず、枝から外されもせずにまとめて食べられたりします。


そのため、もはや定番となっているにも関わらず、本来の名前と違う種類と思われていることもあるようです。




ところがこうした不遇の時を経て成長すると、世の扱いは一変して各方面から引っ張りだことなりました。



「君は植物界のエースだ」



「ぜひうちの業界にも来てくれ」



まさに引く手あまたで、出世豆は活躍の場をどんどん広げていきました。



そして、日本を支える重要な調味料の元となり、優れた保存食ともなったのでした。






子役として早々にデビューし、長い下積み時代を送った大豆(だいず)。





安価で栄養があるのに「もやしっ子」などという例えに使われるモヤシ。


枝ごと茹でて食べられていたことから、大豆であると認識すらされていない枝豆。



いずれも世に出ているにも関わらず、ひたすら不遇の時代を過ごすのです。



晴れて大豆となってからは「畑の肉」ともてはやされ、醤油、味噌といった日本の味に欠かせない調味料となりますが、特に枝豆は、未だに大豆とは別の種だと思われていることがあるようです。



本当の名を知られぬことを意にも介さず、ただ黙々と務めを果たす若き大豆を口にする時、たまには正しい名前で呼んでみてはいかがでしょうか。




▼今週のマメ知識


※枝豆は古くから食べられ、江戸時代には枝ごと茹でたものを歩きながら食べる、ファーストフードのようなものだったそうです。


本当は若い大豆なのですが、その様子から枝豆と呼ばれるようになり、そのまま定着してしまいました。



※大豆は植物や豆の中でもダントツにタンパク質の量が多く、「畑の肉」と呼ばれます。


根に根粒菌という菌を持ち、痩せた土壌でもこの菌が窒素を植物に適した形に変えてくれるため、立派に育つことができるそうです。



※100gあたりのタンパク質含有量を見ると、次のようになります。


もやし 約2.6g 枝豆 約10g 乾燥大豆 約35g



乾燥大豆のタンパク質は驚異的な量を誇り、牛肉(部位によるが25g程度)と比べても断然勝ります。


ただしそのままでは吸収が悪いため、やたらにたくさん食べれば良いというわけではないそうです。



▼これであなたも物知りハカセ?


「次のうち、100gあたりのタンパク質が最も多いものは?」


A.まぐろ(赤身)
B.しらす
C.かつおぶし












答え:C.かつおぶし


まぐろの赤身が26gほど、しらすは40gほど、かつおぶしは何と77gもあるそうです。



▼編集後記


先日枝豆を食べていて、ふと「なぜ枝豆というのか」と思いました。


大きいから大豆、空に向かうからソラマメ、ヒヨコに似てるからヒヨコ豆と、安易なネーミングが多い豆業界ではありますが、「枝になっている」というのはそれほどの特徴ではないためです。


調べてみると、枝になっているからではなく、枝ごと持って食べていたから、というのが語源とのことでした。


それにしても、枝豆が大豆だとは知りませんでした。


この「旅のものがたり」は、私が「へー」と思ったことが題材となるため、私が物を知らなければ知らないほど話が世に出るということになります。


その度に旅とは関係なくなるわけですが、そんな話が案外好評だったりします。



▼ものがたりに学ぶ、今週の教訓


「人知れず、名も知られずに、長年働くものがある」



それでは次回の更新をお楽しみに!



「海のエビス様」



ある男が、海で漁をして暮らしていました。



けれどもあまり魚は取れず、暮らしは楽ではありませんでした。


それでも男はめげずに、今日こそは大漁にと神様に願い、毎日船を出していました。




ある日のこと、男がいつものように漁をしていると、とてつもなく大きな影が船の下を通りました。


影は男の船よりもずっと大きく、水の中に星を散りばめたような模様が見えました。


男が驚いて腰を抜かしているうちに影は悠々と泳ぎ去っていきましたが、不思議なことにその後急に魚がとれ始め、その日はものすごい大漁になりました。




船から溢れそうな魚を持ち帰ったのを見た仲間の漁師が聞くと、男は「海でエビス様に出会った」と言いました。


毎日祈っていたのが、木彫りの恵比寿様だったからです。



男はエビス様のくれた幸運に感謝して、その姿に似せた、星のような模様の着物をつくって毎日着ました。



その後も、ごく稀にエビス様に出会うとまた大漁となり、暮らしは楽になっていきました。


そして、エビス様を探しまわるうちにいくつか良い場所を見つけたので、もう生活に困ることはなくなったのでした。




男の名前を、甚平(じんべい)と言いました。



独特の着物はいつしかその名で呼ばれるようになり、海のエビス様は、エビスザメ、またはジンベエザメと呼ばれるようになりました。



星を散りばめたような背中を持つ巨大な魚、ジンベエザメ。



世界で最も大きな魚であるこのサメは、海面近くを悠々と泳ぎ、大きな口でプランクトンを食べて暮らしています。


ダイバーの憧れとも言われる魚ですが、最近では水族館で飼育される例も増えています。


暑い頃には甚平を着て、ジンベエザメとペアルックで見に行くのも良いかもしれませんね。




▼もうちょっと知りたい!という方はどうぞ↓


ジンベエザメは、プランクトンを食べるイワシの群れや、そのイワシを追うカツオの群れを伴うことが多いようです。


そのため、古くから漁師には大漁をもたらす魚とされてきました。


今までで最大のものは13m以上もあり、大人になるまで30年ほどかかって60~70年も生きるといいます。




▼これであなたも物知りハカセ?


「めでたい魚と言えば鯛ですが、ジンベエザメはさらに富を連想させるものを伴うことで知られます。次の○に入る言葉は?」


回答欄:○○○ザメ












答え:コバン


頭部に小判型の吸盤を持つ、小判鮫(コバンザメ)を伴います。


余談ですがコバンザメはサメの仲間ではないそうで、サメは軟骨しか持ちませんがコバンザメは硬骨を持ち、サバやカジキに近いそうです。




▼編集後記


エビスザメとも呼ばれるジンベエザメですが、実は私もその恩恵にあずかったことがあります。


モルディブでボートフィッシングをしていた時のことで、ペットボトルに糸を巻きつけただけのもので釣りをさせられて全然釣れず、こんなもので釣れるわけがないだろうと思い始めたところで遭遇しました。


初めにコバンザメが数匹泳ぐのが見えた後で姿を現し、船のすぐ下を横切った魚体は4~5mほどだったと思います。


地元の船頭にも珍しいようで、皆興奮して船の下を覗き込んでいました。


その後で急に食いが立ち、ものすごい勢いで魚が釣れ出しました。


何しろペットボトルの竿なので、魚がかかると糸をつかんで引っ張り上げるだけなので大変ですが、20~30cmの鯛のような魚から、60cmほどもあるハタのような魚まで、時間にして30分ほどの間に数十匹を釣り上げました。


私たち以上に船頭さんたちが大喜びだったので、恐らくあの魚を売って彼らも恩恵にあずかったのでしょう。



▼ものがたりに学ぶ、今週の教訓


「毎日熱心に務めれば、思わぬところで出会う福もある」



それでは次回の更新をお楽しみに!