旅のものがたり
【第139回】
「山取り合戦」
あるところに気持ちのいい山があり、多くの人が訪れていました。
それを見ていた2つのグループは、何とかして自分の方にお客を呼ぼうとし、山を取りあって激しく争いました。
片方が電車を通せば一方はケーブルカーをつくり、バスが走ればロープウェイをつくりました。
だんだん山の交通は整って、しまいに山の上にある湖が戦いの舞台になりました。
片方が湖に船を浮かべて観光客を楽しませると、もう一方も船をつくり、それを見たもう一方はもっと大きな船をつくりました。
だんだん船は大きくなって、しまいに何百人も乗れるようになりました。
争いが激しさを極めた頃、ついに一方が、大きな軍艦をつくりました。
一度も使われはしなかったものの、大砲を備え豪華に飾られた軍艦が堂々たる姿を現し、日に何度も湖を往復するようになりました。
歴史ある外国の軍艦をモデルに、続いて二号船、三号船が建造され、今では3隻もの軍艦が湖を走っているといいます。
神奈川県、箱根の芦ノ湖を走る、箱根観光船。
通称は「箱根海賊船」ですが正しくは「観光船」で、モデルとなった船も海賊船ではなく軍艦です。
軍艦がモデルで、湖を走っても海賊船、ちょっと不思議なところもありますが、乗る人が楽しめればそれが一番なのでしょうね。
箱根を訪れた際には、山の上の豪華な軍艦に乗って、かつての山取り合戦を想像してみてはいかがでしょうか。
▼もうちょっと知りたい!という人はどうぞ↓
※箱根では、西武系グループと小田急系グループが長く争い、箱根山戦争と揶揄されるほどでした。
近年、箱根の観光客がピークを超えて落ち始めたことを受け、活性化のために提携する場面(箱根フリーパスなど)も増えているそうです。
※小田急系の箱根観光船(海賊船)は、定員650名が2隻、500名を1隻持ち、西武系の「芦ノ湖遊覧船」は、定員700名の船を持ちます。
芦ノ湖遊覧船は日本初の双胴船(そうどうせん)を就航させた歴史があり、双胴船はスクリューを2基持つため、その場で360度回転できるそうです。
▼オマケの話
※初の箱根海賊船となったパイオニア号は、フランスの帆船をモデルにつくられました。
その後、イギリスの軍艦ヴィクトリーがモデルの船などが就航しています。
海賊船を建造する際は、造船所でつくった船体を輪切りの状態で運び、湖の近くでつなげて仕上げます。
※2013年には、また新たな船が就航する予定で、本格的に海賊のフィギュアなども配される予定だそうです。
▼これであなたも物知りハカセ?
「現在就航している3隻の箱根海賊船の全長は?」
A.約35m
B.約100m
C.約350m
答え: A.約35m
船の全長は35~38mほど。幅は10mで、速力はいずれも10.5ノット(時速20km)ほどだそうです。
▼編集後記
箱根海賊船は、山にある湖なのになぜ海賊船なのかと思っていましたが、理屈よりイメージを優先したのが良かったそうです。
楽しければ細かいことは言いっこなし、という好例でしょうね。
3隻のスペックを見ると、「ロワイヤル」と「バーサ」が700馬力、最も新しい「ビクトリー」は591馬力のエンジンを2基備えています。
しかもビクトリーは他の2隻より軽いため、本気を出せばもっと速いのではないかと思えます。
▼ものがたりに学ぶ、今週の教訓
「争いに始まった仲でも、共に新たな時代を築くことができる」
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
それでは、来週の旅のものがたりをお楽しみに!
(裏)どうも題材が偏っていますが、6月に海外出張がある予定なのでご期待を。ただ、結局はそちらに偏るだけかも..。
「旅のものがたり」
発行者:株式会社いい旅
執筆:黒崎 康弘
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