大晦日だというのに | 或る獣の太陽への咆哮

或る獣の太陽への咆哮

エトバカ三兄弟、長男のブログです。ちょっと滞りがちですが、まぁ許してくだされ。

世の中はカウントダウンで大喜びしてるというのに、私の小説は相変わらずダークです。

だからカウントダウンと言っても、Coccoの方ですね。


♪その鼻をへし折って倒して蹴り上げるわよ 言い訳が見物だわ 今さら何を言っても遺言だけど


いいですね。そしてラストは


♪三つ数えるまでに天使に会える さあ目を閉じて 撃ち殺してあげる 3・2・1


最高です。こういう人素直で大好き。別に撃ち殺されたいとは思いませんけど。

それでは、今年最後の更新になります。何とか間に合った…。


「何者だ…!」
 カシューが剣を構え、廊下の方を睨む。
 彼の誰何に間接的に答えたのは、パーンだった。
「リア…」
「久しぶりね、パーン」
 現れたのは、六人組の冒険者だった。戦士風の女が一人、騎士に見えるエルフの男が一人、女魔術師に、ラーダの男司祭に、エルフの女にドワーフの男。そのうちの女戦士が、リアと言うらしい。パーンに不敵に笑いかけている。
「近付くな!近付けば…」
「斬るって?」
 肩の大剣に手をかけるリアを、司祭が止める。
「…大丈夫です。リアは、ザクソン時代の幼馴染ですから…」
「ま、そゆこと。それより、とーんでもないことになったわね」
「いたのか…?」
「着いたのは、本当についさっきよ。広間に行くかって時に、こいつが止めたのよ」
 親指で差したのは、エルフだ。
「とんでもない悪の気配を感じるってさ。で、一応様子だけはと思って、聞き耳を立ててたのよ。そしたら、エトが突然ぶっちゃけて、消えちゃったってわけ。ね、クリス。あれって、まさかとは思うけど、古代語魔法?」
 クリスというのは、女魔術師の名だった。彼女は首を横に振った。
「神聖魔法よ。ファリスの、ホーリープレイ」
「ファリス、か。てことは、やっぱりあいつはあいつのまんまってことね。ファラリスが支配してたら、ファリスの魔法なんて使えるわけないもんね」
 それも家臣たちには相当な衝撃だったらしい。呻きや嘆きが漏れている。
「ファラリスの秘呪って、あんた何か知らない?クリス」
「私は別に司祭じゃないからね。第一、大陸にはそんなの唱えられる司祭なんていないもの。ま、推測だけど、軽いコール・ゴッドくらいの作用はあるんじゃないかしら。魂が精神に入り込むということだろうから…」
 広間には重い沈黙とざわめきが交差していた。
 それを打ち破ったのは、ディードリットだった。
「エレナ!」
 と、女エルフの名を呼ぶ。
「久しぶりね、ディードリット。随分立派になったこと」
「知り合いなの?姉さま」
 リーフに向き、こくんと頷く。
「ええ。エレナは帰らずの森で色々教えてもらったの。最近顔を出さないと思っていたら、旅をしていたのね…」
「ここ十年以上ね。リア、私たちも自己紹介しましょう」
「ああ、そうね」
 リアが仲間を一人ずつ指差していく。
「えーっと、まずね、あたしたちは最近大陸から帰ってきた冒険者。隣のエルフは、テオドリック。ハーフエルフよ。傭兵みたいなもん。そこの魔術師がクリス。大陸じゃ相当の腕よ。ドワーフがモハレ。こんなんだけど、盗賊。エルフがエレナ。一番謎だけど、強いわ。お決まりの精霊使いね。で、そこの司祭がリラ。あたしと幼馴染で、ラーダの司祭よ。んで、あたしがリア。一応魔法戦士ってやつ。こんなもんかしらね」
 実にあっさりとした紹介である。
「あたしの身元はパーンが保証してくれるわ。パーンとエトとは同じ村でいっつもくっついて遊んでたのよ。だからさっきのぶっちゃけは結構効いたわ。ね、リラ?」
 リラは気弱そうな笑顔で、そっと頷く。
「でも、そう感傷に浸ってもいられない。エトが死ぬ気で動いてるんなら、止めなきゃね。幼馴染だし、あんなのあいつらしくないし。ただ、読めないわ。ファラリスを討って、自分も死ぬって、どういうこと…って、あんたに聞いても分かんないか」
 問いかけられたパーンはしゃがみ込んだままだ。
「さーて、どうしたもんかね。本気であたしらを殺しに来るのは分かるし」
「今のエト王なら、本気で来られるだろうな」
 レオナーが反芻しているのは、今までの戦での、エトの起こした奇跡の数々だ。悪しき者たちへ向けられた偉大なファリスの力が、もしや自分へ向かうかと思うと、ぞっとする。
「陛下…私には、陛下に武器を向けることなんて…」
 フェネアはすっかり元気を失っている。彼女にとっては信じられない言葉ばかりだったのだろう。
「…これは、私の推測なんだけれど」
 突然静かに発言したのは、エレナだった。その口調は平板だが、重みを込めている。


「エト王は、ファリスを降臨させるのではなく、ファラリスを降臨させようとなさっているのではないかしら」


「ファラリス…ですって…」
 せっかく立ち上がれたというのに、フェネアはすとんとまた座り込んでしまった。
「そのような出鱈目を…!」
「…待て、フェグルス」
 激昂するフェグルスを、レーベンスが押し止める。
「止めるな、レーベンス!」
「…少なくとも、私の耳には、あのエルフの言葉は嘘に聞こえないのだ。その根拠を聞いてから激昂しても、遅くあるまい。陛下の御心が分からない今、どのような話でも聞かねばならぬのだ」
 彼の後を継いで、ロエルが先を促す。
「エト王は、ご自身の命を絶ちたがっていらっしゃる。それと同時に、ファラリスをも討ちたがっていらっしゃる。その身にファリスを降臨させることも考えたけれど、エト王はとても頭の切れるお方だと聞いているわ。それならば、そのような分かりやすいことをされるとは思えない。それに、家臣の方たちがファリスに懇願されるかもしれない。ならば、もっと複雑ながら、確実にファラリスを討てる方法を…それがきっと、ファラリスの降臨…そう思ったの」
「けれど、ファラリスを降臨させてしまえば、エト王のお心も…」
 自分の身にカーディスが降臨したときのことを思い出しているのだろう。ニースが怯えた顔でエレナに話しかける。
「…エトには勝算があるって言いたいのね」
 リアに、エレナは頷く。
「私が不思議に思ったのは、ファリスのホーリープレイを使われたときよ。ファラリスの秘呪を受けた体ならば、ファラリスの力を使われた方が楽だと思うの。つまり、エト王はご自身がまだファリスの奇跡を使えることを確かめられたのだわ。そして、確証を持って、ファラリス神殿に赴かれた。ファラリスを降臨させ、完了するかしないかの瀬戸際で、ご自身にファリスの奇跡を使われる…。そうすれば、ご自身の願いが叶うわ」
「…何で」
 パーンが虚ろな目のまま呟く。


「…あいつ、死にたがってるんだ…?」

奇妙なオリキャラたちはTRPGのキャラだった子達です。完全自作。

また詳しい紹介をしようかなと思います。

紅白では、おお、美幸ちゃんだ。いい歌ですね、ふたり酒。

そろそろ大トリ、北島御大の熱唱ですね。♪まっつりだまつりだまつりだ~

はい、演歌も好きです。

ああ、やっぱり泣いたし、美幸ちゃん。


そんな訳で(どんな訳だよ)、今年一年ありがとうございました。

これからもエト萌えで行きます!ので、よろしくお願いいたします。

よいお年を~。