ルネサンス期のフィレンツェの最大権力者、メディチ家はフィレンツェに安定と繁栄をもたらしただけでなく、芸術の発展にも多大な貢献をしました。特にロレンツォ・デ・メディチは彫刻と絵画をこよなく愛し、多くの古代芸術品を収集し、さらに、人文主義のプラトン・アカデミーを創設しました。当時、ミケランジェロは彫刻家、ベルトルド・ディ・ジョバンニ(Bertoldo di Giovanni)のもとで彫刻を学びました。

 

ミケランジェロは牧神の頭部の彫刻をモデルにして、大理石に彫刻をし始めました。これはミケランジェロの最初の彫刻でしたが、見事な彫刻が出来上がりました。ミケランジェロは原作を超えようと、口の中の舌や歯まで掘り出しました。これを見たベルトルドは舌を巻き、「古代では、完全な歯並びをしている人はあまりおらず、ほとんどの人は歯が欠けている」と微笑みながら指摘しました。これを聞いたミケランジェロは牧神の歯をいくつか砕き、そして、歯茎のところまで修正し、本当に歯が欠けているかのように見せました。

 

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