半世紀ぐらい前のことです。昭和時代の中期だと思ってください。

 

ちょうど今のような、夏休み期間中の思い出です。学校のある普段はあまり気がつかないのですが、朝方の心地よい涼しさにひかれて早起きすると、楽しい「町の音」が聞こえてきます。

 

一番早かったのは、やはり新聞を配達する自転車の音です。確か、まだオートバイではなかったですね。それにしても毎朝きちんと定時に、各戸へ朝刊を届ける日本の新聞配達さんというのは、すごいものだなと当時から思っていました。

 

その次は、遠くから近付いてくるのが聞こえる「わっさりぃ、しじみぃ」の独特な売り声です。その日の早朝に、千葉の海で獲れた新鮮なアサリやシジミを、天秤棒の振り分けにして担ぎ売る行商さんでしたが、今考えると「あれは江戸時代の名残りかな」と思わせるような懐かしい記憶です。町のお豆腐屋さんも毎朝「とーふー」と聞こえるラッパを鳴らし、自転車で売りに来ました。自転車は「実用車」という種類の、がっちりした黒い三角フレームの荷役用です。

 

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