今日は、日本の行政サービスのIT活用が遅れていることについて。
転勤族の皆さん、あるいは引越し続きの生活を送る方々、
戸籍抄本や住民票、卒業証明書の取り寄せなど、
オンラインで電子申請や認証ができればいいのにと思ったことはありませんか。
私の場合、戸籍上の住所と居住地が異なるため、
郵送で証明書類を取り寄せる必要が年に数回は生じます。
日本でもe-Taxという国税庁の納税システムがあるくらいですから、
電子申請や証明書類の発行は技術的には可能なはず。
でも、日本の行政のオンラインサービスはやっぱり遅れていると言わざるを得ません。
現在、私は夫の仕事の都合で数年間海外に住んでいます。
今回私は雇用保険制度を利用し、ハローワークから
教育訓練支援給付金の給付を受けようと動いていますが、
申請に当たって、海外在住者にはいくつかハードルがあります。
手続きを始めるに当たり、そのハードルをどう乗り越えたのか
(あるいは諦めざるを得なかったのか)を書き留めておきたいと思います。
そもそも、日本在住でもないのに、給付金を受けるなんてできるのかと言われそうですが、
会社員として働いていた間、毎月雇用保険料は一定期間納めていましたし、
配偶者の海外勤務に同行するとの理由で、受給期間延長は認められていますので、
必要条件は満たしているため、受給資格があることはハローワークに確認済みです。
そして、今後も日本国民として日本経済に貢献する気満々ですから、
ぜひ能力向上の機会を利用させてもらいたいと思っています
申請自体は、「やむを得ない理由」がある場合に限り、
郵送か代理人による申請が認められますが、今回は該当すると判断していただきました。
で、いざ申請に取り掛かろうとしたところ、
① ジョブカード発行に際してキャリアコンサルタントとの対面式面談が必要
② マイナンバーの記載が必要(海外在住者は国外転出によりマイナンバーがない)
③ 本人確認書類の原本郵送が必要
というハードルが出てくることが分かりました。
①に関しては、労働局からジョブカード作成支援を受託している「セントメディア」という
民間企業に確認したところ、Skypeでの面談で対応してもらえることになり、
ハローワークからも確認がとれました。
②、③は現在確認してもらっています。
(②は内閣府HPのQ&A:Q2-8-2に空欄提出でよいと明記されていたのでクリアできるはず)
さて、今後どうなるのでしょうか。
ハローワーク側のオンライン申請制度が整備されていない中、
もし遠隔で申請ができたならば、関係者の方々に感謝したいところですが、
実は世の中の流れとしては、こういった状況も想定して
システム作りをやっていかなければならない状況になっているのです。
小難しい話になりますが、インターネット等を利用した電子文書化に関しては、
e文書法(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律)や「世界最先端IT国家創造宣言」などの流れを受けて、
2016年12月から「官民データ活用推進基本法」がすでに施行されています。
この法律には、
◆国民の利便性の向上に資する分野及び当該分野以外の行政分野での情報通信技術の更なる活用(3条5項)
◆行政手続に係るオンライン利用の原則化・民間事業者等の手続に係るオンライン利用の促進(10条)
が書かれています。
官民ともに確実に電子化の流れがあるのは確かですが、
全然追いついていないと思います。
(ちなみに以前ミャンマーへ渡航する際はオンラインで電子ビザを取得できましたし、
ヨーロッパの小国・エストニアでは、身分認証、選挙の投票、裁判の提訴まで
インターネットでできてしまうほど、他国は進んでいるそうです。
「世界最先端IT国家」て看板は、努力目標としての旗揚げだったのでしょうね。)
そして、今回お世話になっているハローワーク。
実をいうと、相談しようにも、文章のやりとりをしようにも、
対外的なメールアドレスを持たないため、対面以外の通信手段は電話と郵送のみ。
オンライン申請どころか、メールも使えないという遅れようです。
(ハローワーク、別名「公共職業安定所」は、
厚生労働省設置法に基づいて設置された行政機関です。)
もしこんな遅れに遅れた状況で、遠隔申請ができたなら、
「神対応」レベルと言えるかもしれません。
こういった行政関連サービスを相談しても、行政機関からは「前例がない」とよく言われます。
前例がないのは、前例が作られないからないのでしょう。
私のように、海外にいても制度がある以上は使いたい!
と意気込んでいる権利意識の高い駐在妻はマイノリティなのかもしれません。
今回の件については、今後誰かの前例となれればいいなと思います