先の戦いにおいて織田軍は圧倒的勝利を収めた。


今一番天下に近いと言われる『織田信長』という人はさらに勢力を伸ばしていく。


それは和平への道標だと思いながらも、私は終わらぬ戦いに疑問を感じていた。


(こんなこと知られたら…きっと首が飛んでしまう)


フルフルと首を振り、前を向くものの不安が押し寄せて俯いてしまう。


「具合が悪いのか?」


「えっ?」


問われた声の方を振り向くと、竹中半兵衛様が怪訝な顔をして立っていた。


「あっ…いえ…」


「はぁ…最悪」


「すっすいません。お客人である半兵衛様に買い出しの手伝いをさせている上に辛気臭くて…」


「そうではない」


荷物を持った半兵衛様はため息をついた。


「気晴らしが足りぬのだろう。毎日金魚に話かけていても、金魚は喋らぬからな」


「すいません…」


半兵衛様はくるりと踵を返し、何故か街の方へと戻っていく。


「気分転換に清洲の街を見たい。琴音、案内してくれ」


「はっはい!」


私は慌てて半兵衛様の背を追いかけた。






半兵衛様の好きそうな書店を何件か回った後、道の脇で蹲るおじいさんを見つけた。


「大丈夫ですか?」


慌てて駆け寄ると、おじいさんは「腹が減った…」と呟いた。


「大変…何か食べるものを…」


「腹が減っているわりに血色が良い。たかり屋ではあるまいな?」


あたふたとする私の隣で、半兵衛様は冷たい言葉を投げかける。


「そんな…たかり屋だなんて」


「はぁ…最悪。人が良すぎるにもほどがある。この世には、あなたの様なお人好しをカモにする悪い人間がごまんといるのだぞ」


そう言いながら半兵衛様は懐からべっこう飴の入った瓶を取り出し、おじいさんに手渡した。


「それを口にすれば幾らか腹が膨れるだろう」


「おぉ…」


おじいさんはべっこう飴をひと粒口に含み、満面の笑みを浮かべた。


「気にかけてくれた礼に其方らを占ってやろう。儂は占いを生業にしておるのじゃ」


「易者さんなのですか?」


「胡散臭いな…」


半兵衛様の物言いにムッとしたおじいさんは半兵衛様をひと睨みして「おぬし、胸を患っておるな」と言い放った。


半兵衛様は面くらった顔をしたが、平静を装い「関係ない」と言い返した。


言い返したものの、私が「どうしてわかったんですか!」と叫んだので、隣で深いため息をこぼした。


「ホッホッ、わしゃ易者だからな」


おじいさんは私に視線を移し、上から下までジロジロと眺めこう言った。


「お嬢さんは片想い中かの…こりゃまた厄介な…」


「えっ!?」


「はぁ…年頃のおなごならば、当てずっぽうに言っても半々の確率で当たるだろう」


半兵衛様はまだおじいさんのことを信用していない様子だ。


「ふむふむ…お嬢さんの片想いの相手には、あんたとは違う意中のおなごがいるのじゃな」


その先は怖くて聞きたくなかったが、好奇心が勝ってつい聞き入ってしまう。


「そしてもうすぐお嬢さんは何か厄介な事に巻き込まれる…」


「わっ…私はどうしたら良いですか?」


「はぁ…最悪」


半兵衛様は呆れてため息を漏らしたが、私を止める気はないらしい。


「お嬢さんが正しいと思う道を進みなされ。それがあんたに取って最善の道となるだろうよ」


「私が…正しいと思う道って?」


「ほっほっ!ただ占いはここまでじゃよ!」


おじいさんは空になった小瓶を私に押しつけ、片手を振りながら背を向けた。











ー ෆ


恭一郎さんSSを書こう書こうと思いつつ、出だしがなかなか書けずにいます_(┐「ε:)_✎


しかも続きます


(*-∀-*)ゞエヘヘ