俺、鳴神恭一郎は頼まれた品を献上する為に、清洲城へと向かっていた。
城下町が妙に慌ただしい。
子供がはしゃぐのはわかるが、大人までがそわそわとしている。
辺りの様子を伺っていると、見慣れた姿が見えた。
「やぁ、鳴神さん。今から御屋形様との謁見かな」
「秀吉様。この暑い中に見回りですか?」
何時もの愛想笑いを向けると、秀吉様はクスリと笑った。
「この暑い中、客でもない俺に笑顔向けるの結構な労働でしょ。城に上がるまでは素で良いよ」
秀吉様は心中や動向が読めないところがある。
そして他人の動向にはとても敏感で、度々俺の心中を言い当てるものだから、少々相手にし辛い面がある。
「それでは遠慮なく」
秀吉様は立ち止まり汗を拭く俺から一つ荷物を奪い、城へと歩いていく。
「町中のこの雰囲気…何かあるのですか?」
「あぁ、夏祭りだよ。鳴神さんは初めてかな?」
「この秋で清洲に来て一年ですからね。秋に祭りがあった時はこんな雰囲気ではなかったと思いますが…」
「秋祭りは豊穣と収穫に感謝する祭りだからね。夏とは趣旨が違うんだ。夏は此処ら一帯に出店が出て、凄く賑わうんだ」
「儲け時ってやつですね」
「あはは…鳴神さんらしい発想だな。俺は純粋に夏祭りは楽しい行事だと思ってるよ。トリに打ち上げ花火って火薬を使った見世物があってね…」
俺はぼんやりと陽菜の事を思った。
(あの子を連れてきたら、喜んではしゃぎそうだな)
クスリと笑みが溢れたが、俺は考えを打ち消すように頭を振った。
それをする役目は俺じゃない。
純粋な彼女の隣に、忌む者が居てはいけないのだ。
「鳴神さんは陽菜ちゃん連れて参加するでしょう?」
「いいえ。仕事がありますから」
秀吉様は意外そうな顔をしたが、一瞬考えて俺にこう言った。
「じゃあ俺が陽菜ちゃんを誘っても支障無いよね」
「どうぞご勝手に」
「ふーん…」
顔色を見られないようにと、再び汗を拭う。
首の傷が一瞬痛んだ。
(音葉…)
俺は幸せになれない。
血を吸い続けた罪人は…幸せになどなれない。
愛おしい女すら手にかけた俺に、幸せになる資格などあるわけがない。
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違うの書いてたんだけど
秀吉さまの動向を迷ってたら、ふとこれが出来ました
書きかけのSSの序章的な?お話です
続きは夏の間に書けると良いな(・_・;)
さて、恋乱 月の章の恭一郎さんのお話は、色々前後しています
時系列にすると
傷 オリキャラ音葉目線のお話
手錠 -枷- 傷の恭一郎さん目線
タイミング -Timing- 恭一郎さんのSSで一番最初に書いた
折り鶴 恭一郎さんによる音葉の回想
聖ウァレンティヌスの日 バレンタインデーのお話
夏祭りは|ω・`)੭⁾⁾ ココ
幸福論 -Happiness- 幸福論 -Heart Break- ここ一気にEDの後日談です
『タイミング』は仲良しさんの素敵動画見て書いたハズ
『手錠 -枷- 』はこれまた仲良しさんの素敵動画見て『( ゜д゚)ハッ!』ってなって書いた←でも動画とあんまり関係ない(笑)
ちなみに
この時代に花火があったかは、非常に怪しいです
サササッ((-ω-((-[壁]