花の香りが甘く鼻をくすぐる。


「金木犀…」


花の香りを追うようにゆっくりと歩き出す。


ふと貴方に初めて抱かれた日を思い出した。


私の不安を拭うような優しい声。


混じり合う汗の匂い。


香る金木犀。


あの日私は人から女になった。






一人顔を赤くして帰路につく。


アパートの前まで来たところで、部屋の前に誰かが立っているのが見えた。


(まさか…)


その姿には憶えがあった。


足早に部屋に近づく。


絞り出すようにその人の名前を呼んだ。



あぁ 頂戴


貴方の愛を頂戴


溢れるほどの愛を











にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村