薄桜鬼妄想基本設定🐹 




身支度を終えてリビングに向かうと、総司が私の作った作り置きのおかずをつまみ食いしていた。


「こら!総司、つまみ食いしないでよ。晩ごはんなくなっちゃうよ」


「雛出かけるの?」


総司はもぐもぐしながら私の頭からつま先までジロジロと見て、不機嫌そうに問いかけた。


「ちゃんと言ったでしょ。今日は土方さんが蛍を見に連れて行ってくれるって」

 

「ふーん…そうだったっけ?」


総司は無表情で私に近づいてきた。


(ちょ…なんでまた怖い顔の総司になってるの?)


「虫に刺されたら大変だから、腕も足も隠れる格好で行けって…総司が言ったんじゃない」


「言ったような気はするけど、土方さんと一緒は初耳だよ」


「嘘だ、ちゃんと言った!おにぃに確認すれ…」


ドンッ


私の言葉は途切れた。


何故なら怖い顔の総司に壁ドンされ、圧をかけられて恐怖していたからだ。


「雛…最近土方さんと出かける回数多くない?」


「おっ…多くない、多くない」


「…なんか隠してない?」


「隠してない!」


「…知らないうちにライン交換してたりするし」


「そんなのいちいち総司に報告しなきゃなんない…ぎゃっ」


総司に手首を掴まれた恐怖で、言葉の最後は叫び声になった。


「雛知ってるよね?僕が隠し事は大っ嫌いなの」


私の心は恐怖でいっぱいになった。


叫び声を上げそうになった瞬間


プルルルル


総司のスマホが電話の着信を知らせた。


(この音は…)


総司は掴んでいた私の手首をパッと離し、慌てスマホへと手を伸ばした。


「総司です。近藤さん、どうしたんですか?」


(やっぱり近藤さんからだった。近藤さんナイスタイミング!)


総司の壁ドンから開放された私は、大急ぎで玄関へと走った。


総司が「まて!」と叫ぶ声を背中に、私は外へと飛び出した。






「で、命からがら逃げてきたってわけか?ふっ…相変わらずお前ら兄妹は仲が良いな」


「笑い事じゃないですよ。総司超絶マジモードでめっちゃ怖かったんですから」


土方さんは膨れる私を見て笑っている。


「お前のことを想うがゆえの行動だ。愛されてるな」


総司のシスコンぶりは今に始まった話ではない。


ものごころついた頃からずっと、総司は私に近寄る男という男を追っ払って来たのだ。


「嫌がらせ受けても軽く流せてるのは土方さんくらいですよ」


「まぁ、総司とは付き合いも長い。軽く流しているつもりもないがな」


会話を続けるうちに会場である公園の入り口に辿り着いた。


蛍鑑賞の夕べと書かれた看板が入り口に立てかけてある。


看板の前は小さな子供から老夫婦らしき人達でごった返していた。


「凄い人ですね」


「そうだな…ほら」


左手を差し出す土方さんにきょとんとしていると、土方さんは少し恥ずかしそうに笑った。


「手繋いでないとはぐれるだろ。はぐれて何かあったらそれこそ総司に殺される」


「あっ…はい」


大きな手が私の小さな手を包み込むように握る。


(土方さんの手おっきい…おにぃや総司とはまた違う感じた)


「小さい手だな。乱暴にしたら壊れちまいそうだ」


「そんなにやわじゃないですよ」


「小動物だろ」


「はっ…ハムスターじゃありません!」 


「そうだな…ちゃんと人だな」


空いている右手が私の頭をポンポンと優しく叩く。


(うぅ…子供扱い)


土方さんに連れられ、公園の中を歩き進んでいく。


薄暗い空間の中にキラリと光が走ったように見えた。


見間違いかとキョロキョロしていると、眼前を小さな光が素通りしていく。


「土方さん!蛍ですよね、光ってるの」 


土方さんは口元に指を当て「静かに」の合図をした。 


「あぁ、見るのは初めてか?」


「テレビでしか見たことなくて」


土方さんが小川の方を指差す。


草の影からいくつかの光がゆっくりと点滅を繰り返しているのが見えた。


「蛍は英語では『Firefly』。放つ光は『冷光』と言われている。しかし光は熱くも冷たくもない」


「不思議ですね。でも心があたたまります、蛍の光って」


見上げると土方さんは優しく微笑んでいた。


「そうだな」 


ドキッと心臓が跳ね上がった。


(ふっ…不意打ち)


心臓がバクバクと鼓動を繰り返し始めた。


「あっ…有難うございます」  


繋ぐ手が熱い


「なんだ?」


顔はもっと熱くて


「蛍鑑賞に連れてきていただいて」 


とにかく落ち着かないのに


「お前に見せてやりたいと思っただけだ」


もっと一緒にいたいと思う複雑な自分がいた。






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