身支度を終えた私は、鏡の前で長く伸びた髪をかきあげた。

「うーん…」

少し考えて、アクセサリーボックスを手に取り、その中から星型のピアスを取り出した。

耳たぶに当てて考える。
 
ピアスを戻し、私は髪を丁寧に漉いてヘアゴムで束ね、クルクルとお団子状にまとめた。

あらわになった耳たぶを丁寧に消毒し、星型のピアスを再度取り出して耳たぶへとはめた。

耳たぶでキラリと星が光った。

「エヘヘ」

照れくささを誤魔化す様に笑いながら定番の黒いリュックを掴み、私は外へと飛び出した。





走って待ち合わせ場所の喫煙所へと向かうと、透明な壁越しに煙草を咥えながらぼんやりと佇む貴方が見えた。

壁をトントンと叩くと、貴方は笑みを零して煙草を灰皿へと押し込んだ。

「ごめん…なさい。遅れて…し…まいました」

「そんなに待っちゃいねえから大丈夫だ。なんだ、走ってきたのか?」

貴方はハアハアと苦しそうに息を整える私の背中を優しく擦る。

「だって…五分前集合厳守が基本だから」

「クククッ…会社じゃあるまいし、そんな厳しい規律なんざねぇだろが」

「そうなんですけど」

顔を上げると優しく笑う貴方と目が合った。

「ピアス…大事につけてくれてるんだな」

「はい!だって家宝ですから!」

「ふっ…家宝って大袈裟な」

「だって…一番の宝物だから」
 
貴方は私の頭を軽くポンポンと叩き、くるりと背を向けた。

「それじゃあ行くか。今から行けば映画の上映時間にちょうど間に合うだろう」

「はい!」

私は貴方の手を取り歩き始めた。

貴方が耳まで真っ赤になっているのは気づかないふりをして。