彼女はいちごが好きだ。
少し季節が早いと言っても、クリスマスケーキに鎮座するいちごを見てからずっと『いちごは冬の食べ物』だと力説している。
「いちご食べたい!あまおう、とちおとめ、さちのか…あるかなぁ」
早く買いに行こうと俺を急かす、紅く染まる彼女の頬をつまみ上げる。
「いちごならここにあるだろ?」
「果物のいちごが良いの!」
ふてくされる彼女の頬はますますいちごのように紅くなる。
「はいはい。仰せのままに」
「はいは一回で良いの!」
車のキーを左手に。
右手は愛おしい人の手を。
二人で美味しいいちごを買いに行こう。
甘い甘いいちごを食べた後はきっと、甘い甘い二人だけの時間の始まり。