久しぶりに手袋を買った。
今年は寒くなると聞いたから。
ぼんやりしていると突然、首に酷く冷たい何かが触れた。
「ひゃっ!」
「何ぼけっとしてやがる」
振り向けば白い息を吐く貴方がいた。
「どうしたの?手、すっごい冷たい」
「あぁ…暖かい日になれ過ぎて、今年の寒さは堪えるな」
手袋をはめた手で、貴方の手を包み込むように握った。
「温かいな…お前は」
「手、冷たすぎ」
息を吐きゴシゴシと擦るものの、冷えて赤くなった貴方の手はなかなか温まらない。
「温かいものでも食って帰るか」
「うん。おうどんが良いかな」
「お前の奢りでな」
「ケチ」
「ケチなんだよ。手袋も買わないくらいにな」
そう言って貴方は私の右手を握ったまま、コートのポケットの中に押し込んだ。
「二人でいれば手袋なんて要らねぇ…」
「…うん」
見上げれば冷えた手より赤くなった貴方の耳が見えて…
「コケるなよ。運命共同体だからな…俺達は」
「うん…」
負けないくらい真っ赤になった顔の私がいた。