腹が減った…

もう何日歩いたのだろう。

食料は底をついた。

捜し人の手がかりはない。

おまけに森の中で迷ってしまった。

(噂以上に森も荒れてるな。木の実が見つからない)

最低最悪な状況。

さらに俺の身に起きた異変。

(こんな時…若ならどうするだろうか)

フラフラと歩みを進めると…何だかいいニオイがしてきた。

(食いもんのニオイだ…それと香水のニオイか?)

俺はニオイのする方へと向かった。





「ふんふんふん♪ふふふっ♪美味しく出来たわ♪」

窓から様子をうかがうと、中には髪の長い女が…にしてはゴツい気がする。

「いや…それは偏見と言うものだ」

中には髪の長い女性らしき人が、大きな鍋の中身をかき回していた。

(訳を話して食料を分けてもらうか…)

さらに様子を伺う。

部屋の中にいくつかパネルが置いて合った。

「あの写真は…歳三王子じゃないか。歳三王子の知り合いか?だったら若の事も知っているかもしれない」

俺は身なりを整え、ドアを叩いた。





「ふんふんふん♪ふふふっ♪美味しく出来たわ♪」

私…西の森の良い魔女こと伊東甲子太郎は、鼻唄を歌いながら大鍋の中の豚汁をかき混ぜていた。

「歳三王子、豚汁お好きだったわよね」

私は愛する歳三王子を思った。

「遊び人だけど鍛練だけは欠かさないのよね、王子ったら。あの体つき…良いわぁ♡細マッチョ。あのたくましい腕でお姫様だっこされたら…きゃっ♡」

トントン

ドアを叩く音が響いた。

「はーい♡どちら様かしら?」

「恐れ入ります。私は野村利三郎と申します。見慣れぬ森で道に迷い、食料も尽き困っています。どうか食料を少し恵んでいただけないでしょうか?」

「あら♡大変でしたわね。お待ちになって。今開けますわ」

いそいそと玄関に向かいドアを開ける。

そこに立っていたのは…

「いや〜だっ誰かぁ〜」