Another Sunny Day | ethlinの煩悩毛だらけ

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煩悩さらけ出し日記

陽射しがあたたかい…


何よりもあたたかいのは君の笑顔だよ


やわらかな髪 優しい笑顔 僕の名を呼ぶ甘い声


全部僕のものだ


全部…僕だけのものなのに…


ごめんね


もう時間がない


君を悲しませたくない


だから突き放そうとしたんだ


でも…そんな事は無理だったんだ、最初から。


僕は君を離せない、離したくない。


だから残酷だと知っていたけど、僕は僕の望む未来を選んだ。


ねぇ…最後にお願いがあるんだ


僕の名を呼んで


繰り返し 


繰り返し


僕が消えてしまうまで


最期の瞬間までその声で


僕の名前だけを呼んで…


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蒲公英。




誰かの気配を感じて飛び起きた。


目の前には目を丸くした義姉さんが、毛布を手に立ちすくんでいた。


「あっ…ごめんさない。起こしてしまいました?」


「何?」


「総司さん眠ってたから、風邪をひくと思って毛布を…」


どうやら沙雪の支度を待っている間、リビングでうたた寝をしていたらしい。


「邪魔なら叩き起こして追い出せばよかったのに。でも義姉さんにそんな野蛮な事出来やしないよね。」


「邪魔じゃないですよ。それに総司さん笑ってたから起こしちゃいけないと思って。」


「笑ってた?僕が?」


「だって、沙雪ちゃんの夢見てたみたいだったし。」


沙雪を一人残して逝ってしまう夢を見ていた僕が…笑ってた?


「ホント仲いいですね。学校でも一緒、家でも一緒だから羨ましいな…。」


当たり前でしょ?


やっと沙雪に出逢えたんだ。


あの時、僕らが無くした時間を取り戻さなきゃ。


だから片時も離れたくない。


今度こそ…離しはしない…絶対に。


ethlin義姉さんはそんな僕の心中も知らず、相変わらず能天気な顔でにこにこと笑っている。


(そうだ…)


僕は義姉さんに少々意地悪とも取れる質問をぶつけた。


「義姉さんさ…もし歳三兄さんが死んだらどうする?」


大方そんなのは嫌だとべそべそ泣き出すと踏んでいた。


案の定質問をぶつけられた義姉さんの顔には、明らかに動揺が見てとれたしね。


「…」


ためらいがちに何かを言いかけては黙りこくり、とにかく返事のしようがないらしい。


「兄さん敵が多そうだもんね。それにすごいストレス抱えててさ…あはは!いつあの世に行ってもおかしくないんじゃない?」


(こんな台詞を吐けば必ず止める兄さんも沙雪もここにはいないよ。義姉さん…なんて答える?)


「あの…」


「何?」


「私は…」


手にしていた毛布をぎゅっと握り締め、ethlin義姉さんは意を決したように口を開いた。


「私は…歳三さんの妻として最期を看取る事が出来たのなら、それはとても幸せな事だと思います。あの人は置いていかないと言うかもしれないけど…無理です。きっと先に歩いて行っちゃう。あの人はいつも私より先を歩いてて…その先から『ほら、置いてくぞ』って笑いながら手を伸ばしてくれるから。だから…歳三さんが先に逝ってしまっても、私は寂しくありません。私は何時もあの人の背中を追いかけ続けてるんです。」


義姉さんは泣きそうな顔で僕に笑いかけていた。


正直、僕には義姉さんの気持ちが理解不能だ。


でも、嫌味も何も言い返せなかった。


この人は兄さんに似ている。


言った事は絶対に曲げない。


真っ直ぐに自分の気持ちをぶつけてくる。


だから…心の底で何時も敵わないと思ってしまうんだ。


「…死なないよ。」


「えっ?」


「歳三兄さんは死なない。殺しても死なないよ、あんな人。自力で涅槃から戻ってくるんじゃない?あの世もあんな人要らないと思うし。」


僕は「ごめん」と小さく呟いてリビングを飛び出した。


その後ろをethlin義姉さんが追いかけてきて、僕の服の裾を引っ張った。


「これ、お弁当です。片手で簡単に食べられるもの詰めたから、沙雪ちゃんと食べてね。今日もお天気で良かったですね。総司さんにはやっぱりおひさまが似合います。」


義姉さんは何時と同じ台詞を僕に向けた。


何度嫌味を言われても、やっぱり懲りないんだな…この人は。


「じゃあ夜の交代は歳三兄さんと義姉さんが来てよ。僕におひさまが似合うなら、兄さんには春の月明りが似合う。兄さんは極度のロマンチストだからね。一晩中月を眺めていても飽きやしないよ。」


支度を終えた沙雪が現れて、義姉さんに何か話しかけている。


僕はそれを軽く無視して沙雪の手を取り、外へ出た。


春の香りとやわらかな陽射しが僕らを包む。


「総司君!ちゃんとお義姉さんに挨拶しないとだめでしょ!」


「挨拶ならちゃんとしたよ。」


振り向くと膨れた顔の沙雪が見える。


愛おしい君


僕だけの君


僕が聞かせて欲しい言葉はそんなんじゃないんだ。


僕は沙雪を引き寄せ、耳元にそっと囁いた。


「ねぇ、沙雪。僕の名前を呼んで。いつかみたいに…この陽だまりの下で…僕だけを見て。」