それはそれは綺麗な萬月でした | ethlinの煩悩毛だらけ

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煩悩さらけ出し日記

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何度かブログ内で口にしていますが


私が一番好きな作家さんは花村萬月さんです。


尊敬している?


たぶんしてる。


まったくの素人だけど物書きしている立場の人間としても、読み手としてもすごく。


なんだろ…とにかく彼の作品を読むと魂が揺さぶられるのです。





一番最初に萬月さんの作品を目にしたのは、市東亮子さん作画の『紫苑』でした。


修道院で育てられた殺し屋のお話です。


読んだのは学生の頃で、漫画本は姉の所有物でした。


なんとも言えず衝撃的で、ずっと心の片隅に何かが残っていました。


紫苑―屠られし者、その血によりて (秋田文庫)/花村 萬月
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漫画を読み返してみたらエピソードをはしょっている部分が多々あり、やはり原作にか敵わないな~と思いつつ、懐かしい思いでいっぱいになりました。



紫苑 (徳間文庫)/花村 萬月

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花村萬月の代表作を三つだけ上げよと言われたら


迷わず『紫苑』と『イグナシオ』と『緋色の夢』を選びます。


私の中で『イグナシオ』は男版『紫苑』の立ち位置なんです。


内容は違います。


『イグナシオ』は修道院が経営する特別福祉施設で育てられたイグナシオ(洗礼名)の話。


『紫苑』も『イグナシオ』も狭い世界の中で育てられた人間が外の世界と接触し、自分の命運を切り開く、又は終わらせる。


生き残っても命を終えても、そこにひとつも後悔はない。


これが共通点(たぶん)。


あくまでもこれは私の解釈です。





『緋色の夢』は美しい姉と姉には劣る妹のお話。


萬月さんの作品の中では少し異質なお話です。


これは数回読み返していて、読んでいるうちに少々異常な姉妹愛(?)の中に、私はほんの少しだけ姉と私自身を投影していました。


全然似てないんですよ(汗)


ただ、(いささか)異常な感じで妹を愛している姉に、超シスコンおねぇの姿を見た(笑)


皆に愛される姉にコンプレックスを抱きながらも、最後は自分自身の行き着く道へと歩き出した妹を見て『自分は自分。姉と同じじゃなくていいんだ。』と少し吹っ切れた気持ちにもなりました。





ちなみに何度も読み返した作品は


『紫苑』『緋色の夢』『月光~ルナティック~』『惜春』『♂♀』です。


『♂♀』は読むたびに感じる事が微妙に違ってくるので、読み返す事がとても楽しみな作品です。


性と倒錯と現実がごっちゃ混ぜな感じのお話で、ラスト近くで段々と目が醒めていくように現実に引き戻されるあたりが…


とにかく…


ゾクゾクするんですにま~





ちなみに


リアルな知り合いの中に、花村萬月の良さを理解してくれる人は誰もいません。


読むと皆眉を顰める。


描写やシーン…目に入ったうわべだけのもので判断してるんじゃないかンー?と思いますが…感じ方は個人で違うしね…仕方ないか。










ちょうど『イグナシオ』が目に入ったので、パラパラと中を見てみた。


イグナシオ (角川文庫)/花村 萬月
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一回しか読んでないから「あ~こんな感じの話だったっけ~ぽけ~」なんて思った。


ふいに目に入ったラストシーン


滅茶苦茶やって、滅茶苦茶に生きて、死に急ぐ結果になっても、幸せって手に入るんだな…って思った。


そしてラストは【ピエタ】を意識したのかな…と思いました。












肺に二発、腹部に一発。

警官が首を左右に振った。

警官を振り切って、文子が駆け寄った。

イグナシオを抱き起こした。

イグナシオは口を動かした。

「なに!」

「カダローラ先生に伝えて……いまさら、祈れません」

「イグナシオ!」

「でも……迎えにきてくれたんだ……ふしぎだね……祈らないのに、どどいた」

イグナシオは微笑した。

顔全体で微笑した。

頬の筋肉と神経が断裂したままなのに、柔らかい笑顔が現れた。

イグナシオの視線の先に、茜が立ちつくしていた。

ちいさな、ちいさな奇蹟に気がついたのは、茜だけだった。

イグナシオは微笑したまま、息を止めた。

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