さらにサブタイトルをつけるなら
『何故狼さんと赤ばらちゃんは甘い展開にならないのか』
です。
白雪姫 ~Snow White~ をUPした後、『これがばらちゃんシリーズだったら…』の展開を考えていました。
やっぱり甘くなりません。
赤ばらちゃんが赤ばらちゃんである限り(笑)
というわけで 白雪姫 ~Snow White~ のばらちゃんシリーズ版です。
ばらちゃんシリーズは変態妄想姉妹が(勝手に)絶賛リレー中、薄桜鬼の完全二次小説『桜花』シリーズのパロディ版です。
キャラが(なぜか)一部(完全に)崩壊しています。
こういったお話が苦手な方はご遠慮ください。
狼さん(歳三王子)にとって、妖精の森で過ごす何度目かの冬の季節です。
今年も寒い季節が来た。
冬といったらろくな思い出がねぇ…。
弟の総司に発句集と取られ、悪い魔法使い…山南さんに姿を変えられ、勝手のわからねぇこの森の中で飢えと寒さで凍え死にそうになった。
唯一よかった事と言えば、小さな薔薇姫様に会えた事くらいだが…。
このお姫様ときたら、俺のしっぽをひっぱるわ、耳元ででっかい声で泣き叫ぶわ…
まぁ…命の恩人だがな。
しかし助かったと思ったら…お次は熱湯風呂ときた(苦笑)
最初の冬は二人だけで過ごし、次の冬は邪魔な連中と大勢で賑やかに過ごした。
そして季節は巡り、この森で過ごす三度目の冬が来た。
俺は相変わらず狼の姿のままで、愛おしい薔薇姫もまるっきりネンネのお子様で、やっぱり周りには邪魔な連中がうようよしてやがるときたもんだ(溜め息)。
「わぁ~い♪わぁ~い♪雪ですよ~♪」
「こら、無闇に走り回ると危ねぇだろうが!」
赤ばらちゃんは源さんの店で買ってもらったスコップを手に、意気揚々と雪かきをしている。
と言っても、あんまり役に立ってはいねぇがな(苦笑)。
寒さのためか興奮しているせいなのか、薔薇色の頬はいつもに増して上気していた。
「ククッ…まるで林檎みてぇだな。」
走り回る赤ばらちゃんを捕まえて、そっと頬を指でつついてみた。
「えへへ~♪りんごみたいにおいしそうですか?」
「あぁ、美味そうだな。きっと林檎より甘いと思うぜ。」
「わぁ~い♪わぁ~い♪りんごより甘いですよ~♪」
俺の言葉の真意など気がつくはずもなく、赤ばらちゃんは無邪気に笑っている。
「ほっぺたも美味そうだが、特にそのさくらんぼみてぇに赤い唇が美味そうだ…。」
「さくらんぼも大好きです~♪」
「俺もさくらんぼは大好物だ。」
「わ~い♪狼さんと一緒だ~。」
無防備な顔で笑う赤ばらちゃんを見ていると、自然に笑みが零れてくる。
(よしよし…やっとチャンスが巡って来たぜ。一番邪魔な白ばらちゃんは、左之と総司の三人で島田の店へ買い物に行った。新八は眠りこけてたからな…しばらくはベッドから出てくる様子はねぇ。)
「狼さん、狼さん、狼さんの一番好きな食べ物はなんですか?」
「ん?一番か?」
「狼さんは~お昼に何を食べたいですか~?」
愚問だな。
ずっと食いたいと思っているものは、俺の目の前にある。
「知りたいか?」
「狼さんと一緒のものをお昼に食べたいです♪」
それは出来ない相談だな。
俺がずっと食いたいと思っているものは、赤ばらちゃん自身だ。
「じゃあ教えてやる。」
俺は赤ばらちゃんの小さな体を抱きかかえた。
遊んでもらえるのだと勘違いしたんだろうな…赤ばらちゃんはひと際大きな笑い声を上げた。
「狼さんが~食べたいものはなんですか♪」
赤ばらちゃんは振り落とされないようにと、俺の首に腕を回してきた。
(よしよし…いい子だ。)
「俺が食いたいのはな…。」
「はい♪」
俺はそっと顔を寄せた。
「黒い髪に白い肌、りんごのようなに赤く染まった頬と甘い甘い唇の…」
赤ばらちゃんの唇に触れようとした瞬間
ドサッ
「「!?」」
何が起きたんだろうな。
目の前が真っ白だ。
「がはははは!わりぃ!わりぃ!歳三が屋根の下にいるなんて気がつかなかったぜ。」
声の方に顔を上げると、屋根の上にスコップを持った新八がいた。
「新八…てめぇ…いつの間に起きてきやがった!」
「あ?ついさっきだぜ。昨日の晩から白ばらちゃんに屋根の雪下ろしを頼まれていたからな。雪すかしは寝起きの運動に最適だぜ!」
新八はさらに屋根の雪を落とし始めた。
「馬鹿野郎!赤ばらちゃんが雪に埋まって死んじまったらどうするつもりなんだ!」
「赤ばらちゃんは歳三が命に代えてでも守り切るだろ?だがな、ちっさい子相手に悪さする奴はよ、一回死んじまった方がいいんじゃねぇか!」
「新八…てめぇ…覗き見してやがったのか!」
「覗き見なんて人聞き悪いぜ。俺は白ばらちゃんに赤ばらちゃんの事を頼まれてるだけだ。『お腹を空かせた狼さんが赤ばらちゃんを食べてしまわないように、ちゃんと見張っててね』ってよ!」
くそ!やっぱりわざとかよ。
「…狼さん。」
「あっ赤ばらちゃん大丈夫か?」
「…っこ。」
「なんだ?」
「寒くなってきたら…てへ♪おしっこしたくなってきた!」
「…」
はぁ…
やっぱり冬はろくな事が起きねぇな。
「…じゃあ風呂に入ってあったまるか。」
この森に来てからずーっと薔薇姫様と一緒にいるけどな…
「わーい♪お風呂♪お風呂♪」
甘い展開どころか、お守りしかしてねぇ気がするぜ(苦笑)。
「肩までちゃんと浸かるんだぞ。」
それでもここを離れがたいと思う理由は
「はい♪100数え終わるまで、上がっちゃだめなんですよね♪」
目の前にいる小さな花から、目が離せないからなんだろうな。
白い雪の中に咲く赤い薔薇。
俺の大切な薔薇姫様。
いつか俺だけのものになる日を夢見ながら、今年の冬も過ごして行く事になりそうだ(苦笑)