空に咲く大輪の花 地上に咲く小さな花 | ethlinの煩悩毛だらけ

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煩悩さらけ出し日記

花火大会、行く予定ある? ブログネタ:花火大会、行く予定ある? 参加中

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今年も花火花火は見に行きませんしゃきん



人混みで疲れちゃうからね死ぬ…;;



いつかは見に行きたいな。



もうちょっと元気になったらね。












去年は嫁妄想夜に咲く花 にて土方さんと二人っきりで花火を楽しみました(脳内で)。



今年はピグの鉄之助が花火を楽しみます。



ほうずき市で土方さんと花火を見に行く約束をした鉄之助。



花火大会当日の鉄之助はというと…。





花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火








「土方さん、いってらっしゃいませ!」


「行ってくる。鉄、俺がいないからっておやつばっかり食ってんじゃねぇぞ。」


「はい!この機会にみんなに剣の稽古をつけてもらうつもりです。」


元気よく拳を上げて返事をしてみたが、それがカラ元気だと見抜かれたんだと思う。


土方さんは申し訳なさ気な顔で僕の頭をそっと撫でた。


「…悪いな。お前を今晩の花火大会に連れて行く約束…破っちまったな。」


「いえ、お仕事が優先ですから、気になさらないでください。その代わり、お土産を楽しみにしています。」


僕は満面の笑みを浮かべ笑って見せた。


今日は京で一番の花火大会が開催される日だ。


僕は前から土方と今晩の花火を見に行く約束をしていた。


でも、土方さんは近藤さんの急な出張に同行する事になってしまった。


僕はもう子供ではない。


それにここには遊びに来ているわけでもない。


だから「行かないで!」なんて駄々をこねるわけにはいかない。


「夜一人でふらふら出歩くんじゃねぇぞ。」


「はい!近藤さん、土方さん、いってらっしゃいませ!」


土方さんの背中が見えなくなるまで…僕はずっと玄関に立ち尽くしていた。











屯所の雑用、剣の稽古、そして夕餉の時間も終わり、僕は一人部屋でぼんやりとしていた。


土方さんと一緒にいれば慌しく過ぎる時間が、今日はやたらと長く感じる。


「今日は早めに寝ようかな。」


布団をひき、日課の日記を書こうと机に向かった途端、廊下からドタドタと煩い足音が聞こえてくる。


そしてその足音は、なぜか僕の部屋の前で止まった。


(誰だろ?左之さんと平助君は花火見に行くって早くに出て行ったよね。夜の巡察組の出かけるのも見送ったし…。もっ…もしかして出張先で土方さんが不逞浪士に斬られたとか…そんなの知らせにきたとかじゃないよね?)


背中に嫌な汗が流れてきた。


慌てて襖に手をかけたと同時に、ものすごい力で襖が開かれた。


「鉄、出かけるぞ!急げ!って…なんだなんだ?お前もう寝るつもりだったのか?」


「新八さん!?土方さんに何かあったんですか!?」


「あ?あぁ…何かって…土方さんから伝言なら預かってるけどよ…。」


新八さんの顔が一瞬曇ったのを、僕は見落とさなかった。


(やっぱり…出張先で…。無理行っても同行すればよかった…。土方さんを守れなくても、盾になる事くらい出来たかもしれないのに…。)


「うわぁぁ~ん汗!土方さんは最期になんて言ってたんですか~!まさか…『鉄、腹出して寝るなよ』とか…そんなかっこ悪い遺言じゃないですよねーーー!!!」


「はぁ?遺言?何言ってるんだお前?寝る前から寝ぼけてんのかよ。そんな暇あったらさっさと着替えろ。花火大会が始まっちまう。」


「はっ…花火大会?土方さんは?」


新八さんはドカドカと部屋に上がりこんで、部屋の箪笥の中を覗きこんでいる。


「土方さんからの伝言は『鉄之助に花火を見せてやってくれ』だ。お前楽しみにしてたしな。土方さんに買ってもらった浴衣着て行くってよ…ずいぶん自慢してたじゃねぇか。」


ホッとしたと同時に、ふとした疑問が頭を過ぎる。


「でも、左之さんと平助君は?」


「あいつらは他の隊士連れてって、帰りは酒飲んで帰ってくる。俺は今晩は酒抜きだ。お前相手に酒飲むわけににもいかないしよ。」


「新八さんも一緒に行けばよかったのに…。」


俯き加減にぼそぼそと呟くと、新八さんの大きな拳骨が僕の頭をぐりぐりと小突く。


「ガキがな~に遠慮してんだよ。たまには酒抜きで花火見物するもの楽しいんだよ。ほら、着替えろ。いい場所はすぐに取られちまうぞ。」


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「うん…えっと…ありがとう。」

「いいって事よ。それにうるさいあいつらがいない方分、ゆっくり花火見物出来るしな。」

僕は素直に浴衣に着替え、新八さんと一緒に花火大会に出かける事にした。











新八さんが連れてきてくれた場所は見晴らしがよく、花火見物には絶好の場所だった。


花火が上がる前からたくさんの人がいて、打ち上げが始まる頃にはたくさんの人で埋めつくされてしまう。


空が暗くなると、遠くから轟音が鳴り響いた。


「うわぁ~。」


夜空に次々と花開く花々。

赤 青 緑…色鮮やかに夜空を彩っていく。


花火がどんどん打ち上げられていくと同時に、人の数も多くなってきた。


かろうじて見えていた水平線は、人の頭に埋めつくされすっかり姿を消してしまった。


僕は首を上げて空を見上げ、打ち上げられる花火を一つも見逃すまいと必死だった。


「ずいぶん人が増えてきたな。よっし!鉄、ちょっとじっとしてろよ。」


新八さんは僕の体をヒョイと持ち上げ、軽々と肩の上に乗せてしまった。


周りを見渡せば、小さな子供が僕と同じように父親の肩車の上ではしゃいでいる。


「新八さん、恥ずかしいよぉ…。」


「何言ってんだよ。肝心の花火が見れなかったら来た意味ねぇだろ?それに土方さんに報告するんだろ?今晩の花火がどんなに綺麗だったかをよ。だったらよ、少しでも空に近い方がよく見えるだろ。」


またヒュッと軽い音が響いた。


お腹に響くくらいの轟音。


そして夜空に紅い花が開く。


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空に近くなった分、花が開く音も花の美しさもつぶさに感じる事が出来る。

僕は黙って新八さんの肩の上で花火を見つめていた。


華々しく咲き、静かに散っていく炎の花。


夏の夜だけに咲き誇り、音もなく散っていく熱き花。


「鉄!目を皿にして見とけよ!ひとつも見落とすんじゃねぇぞ!今見たもの感じたもの全部…お前の言葉でちゃんと土方さんに伝えろよ。」


「うん!あっ…新八さん!見て見て!!」


「おっ!一等でっかいのが咲いたぜ!」


恥ずかしいなんて思っていた事を忘れてしまうほど、僕は夜空の花火に魅入られてしまっていた。


新八さんの肩の上ではしゃぎながら、次々と打ち上げられる花火を目で追い続ける。











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「たま~や~」

「か~ぎや~」


僕と新八さんの叫び声は、夏の夜空へと吸い込まれていった。












「新八さん、ありがとう。」


「いいって事よ。俺も楽しかったしな。たまには土方さんとじゃなくて、俺と過ごすのも悪くねぇだろ?」


「うん。新八さん、なんだかお父さんみたいだった。」


「おっ…お父さん!?勘弁してくれよ~。」


新八さんは苦笑いを浮かべながら、ガリガリと頭を掻いている。


「土方さんはね、強くてかっこいいお父さん!新八さんはね…優しくて大きなお父さん!えへへ♪新八さんと花火見れてよかったな。でも…やっぱり土方さんにも本物の花火見せたかった。夜空に咲くたくさんの大輪の花…見せてあげたかったな…。」


「何言ってんだ!花ならここにあるだろ?」


新八さんが笑いながら、僕の頬をつまみ上げた。


「鉄之助って花がよ!土方さんの傍で嬉しそうにお前の笑う顔は…どんな花にも勝る大輪の花だと思うぜ。」


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「えへへ、そうかな?そうだといいな…。僕が笑って土方さんも笑ってくれたら…嬉しいや。」


「まぁ…お前は女の子にお菓子やら食いもんばっかりもらってるからよ、そのうち花じゃなくてまんじゅうみたいな顔になるかもしれないな。」


「…新八さん、僕が新八さんよりモテるから羨ましいの?」


「なっ!なんだよその顔!お前自慢げな顔しやがって!はん!お前、一番マメに差し入れしてもらってた女の子に振られたくせによ。」


「振られたんじゃないもん!また会おうねって約束したもん!僕のお嫁さんになりたいって…言ってたもん!」


「嫁だと~?ちくしょ~どいつもこいつも…鉄!お前は正真正銘のガキのくせに生意気なんだよ!」


新八さんの大きな手が僕の体をひょいと掴み、あっという間に背中に負ぶさるうように乗せられた。


「お前はまだまだガキだからよ、今日ははしゃぎすぎて疲れただろ?屯所に着いたら布団の上に転がしといてやるから背中で寝てろ。明日土方さんが帰ったら、どうせすぐに仕事だしな。」


「ん…ありがとう…新八…お父さん…。」


「だからお父さんは勘弁してくれよ~。」


新八さんの背中から感じる振動が心地よくて、僕はすぐにウトウトとし始めてしまった。


僕はそっと目を瞑った。


目を閉じれば大輪の花が見える。


新八さんと一緒に見た、夜空に咲く熱い大輪の花が見える。


「新八さん…。」


「なんだ?」


「僕がもっと大人になったら…花火の帰りにお酒おごってあげるね…。」


「そんな頃には綺麗な嫁と可愛い子供と花火見に行ってるからな、お前の面倒なんて見てられねぇよ。」


「でっかい事言ってる…。」


「うるせぇ!」


そんなにも遠い未来の僕は、どうしているんだろう。


僕はちゃんと土方さんの傍にいるのかな?


土方さんと肩を並べるくらい強くなってるのかな?


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まだまだ遠い未来へと思いを馳せながら、僕は深い眠りについた。