三日月の君へ の嫁妄想幕末ver.です。
お話はまったく繋がっていません。
同じ『三日月=沖田さんの笑い顔』をテーマに書いたSSです。
函館戦争後、ひっりと暮らす二人のお話です。
嫁妄想は字のごとく完全自己満足妄想小説ですから、こういったお話が苦手な方は脱出してくださいね
。












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窓を開け空を見上げた。
空には満天の星と淡く光る三日月。
三日月を見た私は、彼の事を思い出していた。
決して、いい思い出ばかりとは言えないかもしれない。
それでも、あの時も私は幸せだったのだと…そう思った。
「何考えてんだ?」
「えっ!なんですか?」
振り向くと私の後ろには、不機嫌な顔をした歳三さんが立っていた。
「何考えてたんだって…聞いたんだ。」
「沖田さんの事です。」
正直に答えてみたものの、眉間の皺は元に戻りそうにない。
「なんで総司なんだよ。」
「なんでって…三日月を見てたら、沖田さんの笑い顔を思い出したんです。」
「なんで総司の事を思い出して、お前が笑うんだよ。」
「笑ってましたか?」
「ニヤニヤ笑ってた。」
「ダメ…でしたか?」
「ダメなんてこれっぽっちも言ってねぇ。」
(でも、超不機嫌だし…。)
私は窓を閉め歳三さんの傍に立ち、むすっとした顔を下から覗き込んだ。
「もしかして…やきもち妬いてるんですか?」
「っ…んなわけねぇだろうが!!」
どうやら図星らしい。
歳三さんは真っ赤な顔をして、ふて腐れてしまった。
「クスクス…変なの。ここにいない人に、やきもち妬くなんて。」
背中からそっと腕を回した。
「お前だって…俺が近藤さんの話ばっかりしてたら、すぐにふて腐れるじゃねぇか。」
(うっ…痛いところをつかれたカモ。)
「だって…歳三さん、近藤さんの話になると、すっごく目をキラキラさせて、楽しそうに話しするから…。」
「ったく…ここにいねぇ人間にやきもち妬いてどうするんだ。」
「だって…えっ…あっ…。」
急に腕を強くひっぱられ、私の体はバランスを崩し前のめりに倒れていく。
(倒れる!)
驚きのあまりに強く目を瞑った。
しかし次の瞬間、私は歳三さんの腕の中にいた。
目を開ければ私を優しく見つめる貴方がいた。
私だけを見つめる…愛おしい貴方がいた。
「今は俺とお前しかいねぇ…そうだろ?」
「はい…。」
私は愛おしい人の首に腕を回し、そっと体を寄せた。
ふと窓に目線を移せば、歳三さんの背中越しに見える三日月が、私達の姿を見て笑っていた。
「ふふっ…。」
「何がおかしい?」
「月が…。」
「今度は月か?月がどうした。」
「月が窓越しに覗き見してます。」
歳三さんは私を抱いたまま、体を窓の方に向けた。
二人の視線の先には、漆黒の空に浮かぶ細い三日月。
人目を忍ぶようにひっそりと暮らす私達を見守るように、静かに浮かんでいる。
「沖田さん…今頃どうしてるんでしょうね。」
ふいに口から出た言葉。
しかし、答えは聞かなくてもわかっていた。
ただ、それを認めたくなくて…私はずっと知らないふりをしている。
それが本当の事だと聞きたくなくて…私はずっと気がつかないふりをしている。
「そんなの…わざわざ聞かなくったってわかるだろうが。」
体がわずかに震えた。
動揺を気取られないように俯いて顔を隠したけれど、歳三さんにはバレているのだろう。
私を抱く力が強くなった。
「総司はな…。」
答えを聞くのが怖くて、私は歳三さんに強くしがみついた。
「総司はな…笑ってる。」
「えっ?」
「総司はどこにいても、笑ってるに決まってる。現に、窓の外から俺達を眺めて笑ってるじゃねぇか。総司、どうせそこから勝手に覗いて『人前でイチャイチャしないでくださいよ。土方さんはホントに自分の事を棚に上げるのが得意なんだから』とか言ってんだろ?お前の考えなんざお見通しなんだよ。」
そう言いながら歳三さんは笑い、私を抱いたまま窓際へと移動した。
「ethlin、今晩は総司も交えて酒でも呑むか?たまには呑めない酒を呑むのもいいだろう。募る話はたくさんある。なぁ…そうだろ?総司。」
「そうですね。私も沖田さんにお話したい事がたくさんあります。」
窓を開け、二人で空を見上げた。
今夜は寂しがり屋の三日月と一緒に話をしよう。
会えなかった時間を埋めるように
あの時みたいに
悪戯な笑顔を浮かべる貴方と
懐かしい時間を過ごしましょう。
三日月の君へ の『私』は私(ethlin)ではなかったので、私から見た沖田さんを書こうかな~と思いました。
『好き』と思う気持ちは同じだけど、あの中の『私』と私は同じ想いではありません。
あの『私』は私の中に生まれた『誰か』です。
それでも、彼に対する私の想いは込めました。
『沖田さんには笑っていて欲しい』
本当は、私は沖田さんは陽だまりが一番似合うと思っています。
ただ、あの時見た三日月が
ぼんやりと霞んで浮かぶ三日月が
私には沖田さんの笑った顔に見えました。