土方さんの新暦の誕生日御祝SSでございました。
去年、桜花のethlinは5月31日に桜花を訪れ、土方さんと二度目の再会を果たしました。
その後土方さんに誕生日がいつですか聞きましたが、ちょうど終ったばかりなのでございました(花束 ~心の中に咲く小さな花~ 参照)
『来年もお話出来るかなんてわからないよ』なんて…超弱気な事を言っていますね。
去年の夏くらいかな…お花屋さんで紫のカーネーション
を見つけました。
見た瞬間『土方さんのイメージだ~
』と思い、お花屋さんのショーケースで見かけるたびにジロジロと眺めていました。
洋装、又はスーツ着てる土方さんのイメージです。
色は濃淡ありまして、私は濃い紫の花が一番綺麗だと思います。
で、去年から
『土方さんにお花を贈るなら、絶対に紫のカーネーションがいい
!!』
と決めていました。
膨らめ妄想!
爆走せよ妄想!
変態妄想姉妹の馬鹿妹は、妄想と現実がごっちゃになっています(笑)。
で、5月5日の誕生祝いの後、新暦の5月31日に御祝いしたいな~と…
去年御祝い出来なかった桜花のethlinに、土方さんの誕生日を御祝いさせたいな~と
そんなこんなで書き上げたSSでございました。
紫のカーネーション、ムーンダストは実物はもう少し黒い色なんでが…カメラマンの腕がヘボいのでごめんなさい(汗)
今回は全体の話が少し暗めだったので(苦笑)、最後はゆきちゃんに明るく〆てもらいましょう。
土方さんの誕生日の数日前の事です。
ゆきちゃんとethlinは元気に(?)お仕事中です。
5月〇〇日 雨
今日は暇。
雨のせい?
ethlin先輩の心も雨模様。
朝会社に来たら社内はいきなりクールビズが始まってて「スーツ男子を見る楽しみの要素が奪われた
」って超落胆。
張り切ってスペシャルから揚げ弁当を作ってきたら、「家に忘れてきた![]()
」ってさらに大打撃。
私も…
私の心の中も曇りのち雨。
だって…
「あ~ぁ、セール、ご優待会、催し物そしてセール…息つく暇もないほど働かされ、楽しみの桜花へもなかなか行けない…。甘いケーキ…甘い沖田さん…甘い甘い沖田さん…あぁーーー沖田さんの顔が見たいぃぃ!!!」
「悪い…やっぱり総司をよこせばよかったな。」
聞き覚えのある声に反応して、瞬間後ろを振り向いた。
「えっ!あ?あれ?ひ…土方さん?土方さん…ですよね?」
「よぉ、今日は一人か?あいつ…飯でも食いに行ってるのか?」
そこにはいつもと変わらない、少し無愛想な顔をした土方さんがきょろきょろと先輩を探していました。
ただ一つだけ違っていたのは…
「土方さん…スーツ?今日はスーツですね?」
「今日は商談の帰りだ。スーツ姿くらい夜の桜花で見てるだろ。珍しくもなんともねぇとおも…。」
「うわっ!ちょーっ!!!スーツ!スーツ!!スーツですよー!なんですかーー!!その普通のサラリーマンみたいなビジネススーツわぁーーー!!!ちょっ…マジ?マジですかーーー!!!」
この叫びの後、呆然とする土方さんの後ろから鬼のような形相の主任が現れ、私ゆきはこっぴどく怒られてしまうのでした。
「ククッ…ずいぶんな熱烈歓迎ぶりだな。」
「すいません、私スーツ萌エネルギー切れ中だったもので、つい興奮しすぎてしまいました。」
「スーツ萌って…ふっ…若い女の子が考えそうな事だな。」
チラリと視線を土方さんへ走らせる。
(ビジネススーツとはいえ、やっぱり仕立ての良さそうなスーツ着てるな。夜とは少し違う雰囲気…
。)
「なんだ?そんなに普通のサラリーマンみたいな格好が似合わないのか?」
苦笑する土方さんに、私はとびっきりの笑顔を向けた。
「いえ!いえ!とんでもない!!『スーツ男子愛好会』副会長としては、見栄え良いスーツ男子が目の前に現れたら、細かくチェックせずにいられないのですよ!そして叫んでしまいそうになります。」
「クククッ…実際大声で叫んでたじゃねぇか。しかしスーツ男子愛好会ねぇ…けったいな…いや…すまねぇ、ずいぶんと面白そうな集まりだな。」
「まだ会員2名しかいませんけど、話し合いは濃密で、すっごく楽しいですよ~。」
(会長はもちろんethlin先輩です。そしてethlin先輩は土方さんのスーツの話しかしません。マジで。)
「じゃあそのスーツ愛好会副会長さんに、スーツの宴への招待状だ。」
そう言って土方さんは薄ピンクの封筒を私に差し出した。
「???開けてみていいですか?」
「どうぞお嬢様。」
「ぷっ…土方さんでも『お嬢様』とか言うんだ。」
「近しい奴だけにな。今のところ『お嬢様』って呼べる奴はゆきだけだな。」
「そっか~ethlin先輩はべ…。」
「べ?」
一瞬、土方さんの眉間に皺が寄った。
(やばっ…)
「べ…べんとう!お弁当です!先輩、今日はお弁当忘れてきちゃったんでがっくりしてるんですよ~。も~先輩は本当に毎日が食いしん坊万歳なんだから~。」
(土方さんがethlin先輩の事BBって呼んでるって事…沖田さんとの秘密だった。危ない、危ない。)
「ったく…あいつは会社に弁当食いに来てるんじゃねぇか?本当にしょうがねぇ奴だな。」
そう言いながら、土方さんは嬉しそうに笑う。
(いいな~やっぱり『特別』って感じがする。)
ぼんやりしていると、忙しない靴音が聞こえてきた。
「ゆっきちゃ~ん!行ってきたよ、配送品出してきた。も~途中で台車から荷物が全部転げ落ちちゃってさ~大変だったんだ…から…」
「よぉ、仕事忙しそうだな。」
「歳三さん…どうして…。」
先輩は真っ赤な顔をして、土方さんの姿をマジマジと眺めている。
「どうしてって…お前に会いに来た。そんな理由じゃだめなのか?」
(土方さん、この『どうして』は『どうしてここにいるんですか?』じゃなくて、『どうしてスーツ姿なんですか?しかもすごくカッコいいんですけど…』の方ですよ!そして、どうして土方さんは仕事中にその笑顔を出せないんですか?)
とツッコミを入れたいところだが、二人の邪魔になるだけなのでここは大人しく自重する事にした。
「あっ…いえ…あの…
。」
(先輩、照れてしどろもどろになってる。か~わ~い~い~
)
「なんだ。昼飯忘れてがっかりしてるかと思ったら、結構元気そうじゃねぇか。」
「えっ!?なっ?ちょっ?歳三さんがなんでそれを!!」
(あぁ…せっかくのいい雰囲気がぶち壊しに…って私のせいか。)
「この前言ってたパーティーの招待状だ。俺の誕生日祝いという名の、単なるどんちゃん騒ぎだからな、気楽に来い。」
そう言って、土方さんは先輩に薄いブルーの封筒を手渡した。
「土方さん、もうすぐお誕生日なんですか?6月?何日です?先輩休み入れますよ。」
「あっ…ゆきちゃん、5月31日なんだ。えへへ♪もうすぐなんだよ。」
「えっ?先輩31日は絶対に仕事にしてって言いましたよね?」
ethlin先輩と土方さんの顔色が少し変わった…気がした。
「歳三さん、月末は大切な用事があるんだ。前から聞いてたし、だからその日お休みしなくてもいいやって思ったの。それに2日の日に約束したからいいんだよ。」
「そう…ですか。」
いつもと変わらない先輩の笑顔。
「今はデパート氷河期だろ?月末しっかり働いて来い。そしたら褒美にスペシャルデザートを食わせてやる。」
なにも変わらない土方さんの優しい眼差し。
二人には、私が立ち入ってはいけない何かがあるのかもしれない。
きっと二人だけの秘密
私が入り込んではいけない
二人で共有している…二人だけのものなんだ。
「ずい分と長居しちまった。仕事の邪魔をしたな。すまねぇ。そうだな…侘びとして菓子でも買って買えるか。」
土方さんがお菓子を選んでいる横で、ethlin先輩は楽しそうにお菓子を勧めている。
手早く支払いを済ませ、軽く手を上げて立ち去ろうとする土方さんに向かって、ethlin先輩の肩を軽く押した。
「あっ!先輩!!お客様を最後までお見送りするのが接客ってもんですよ。今日朝礼で言ってましたよね。ささっ…土方さんは上得意様ですからね。出入り口まで丁寧にお見送りしてください。」
仲良く立ち去る二人の後姿を眺めながら、私は業務日誌を取り出した。
朝書き込んだ文字を二本線で消し、改めて今日の日誌を書き込んだ。
5月〇〇日 外は雨
今日は上得意様ご来店により、予算達成の予感。
雨の日も悪くない。
ethlin先輩の心は太陽が見え始めたから。
先輩が笑えば、私の心も晴れ間になるから。
それに…
それに…
「スーツの宴に招待されたし…楽しみが増えたー!!仕事に張り合いが出たぞーー!!よっし!がんばるぜぇぇーーー!!!」
と本日二度目の大声に、またもや私は怒られてしまったのでした。