12月31日大晦日の夜、私は待ち合せ先の神社へと一人向かう。
おねぇと原田さんに一緒に行こうと誘われたが、31日は仕事だから終ったら一人で行くねと断わった。
本当は一人で行くのは不安で怖い。
今も桜花に自分の居場所があるのかと、受け入れてもらえるのかと…考えれば考えるほど怖くなる。
神社は多くの人でごった返していた。
周りを見渡しても、誰一人見知った人がいない。
心の中が不安でいっぱいになってくる。
このまま誰にも見つからなかったら…ざわめきだけが不安で渦巻く心の中に入り込んでくる。
(無理…無理だよ…こんなにたくさんの人がいる中から皆を探すなんて…それにこんなにたくさんの人の中から私を見つける事なんて…出来るわけない)
ホンの数分が何時間にも感じる。
不安で心がいっぱいになって泣き出しそうになった時、誰かに呼ばれた気がした。
キョロキョロと周りを見渡すけれども、知らない人の頭ばかりで何もわからない。
また私を呼ぶ声が聞こえた。
今度ははっきりと。
声がした方に目をやると、歳三さんが真っ直ぐに私の方へと駆け寄ってきた。
「どうして…どうしてわかったんですか?」
「どうしてって…当たり前だろ?」
少し困った顔をして、私の頭をポンポンと撫でる。
「どこにいてもわかる…絶対に見つける。」
ふいに優しく笑いかけられ、私は赤くなった顔を隠すように俯いた。
すっと目の前に左手を差し出された。
「?」
「ほら…手…出せ。繋いでないとはぐれるだろ。」
「はっはい」
おずおずと手を差し出すと、大きな手が私の手を包み込んだ。
「お前の手、随分冷たいな。」
大きな手から温かい体温が流れ込んでくる。
「階段でこけるなよ。お前がこけたら俺も一緒に転がり落ちるんだからな。」
「はっはい、頑張ります。」
「クッククク…階段ごときに何を頑張るんだよ。」
歳三さんは笑いながら私の手をひいて階段を上る。
足が短い私は、歳三さんについて行くので精一杯だ。
「…悪い…少し早すぎたか?」
「はひ…大丈夫です」
「嘘つけ。息が上がってる。」
途中で立ち止まり、ゆっくりと深呼吸をしながら息を整える。
ふと階段の下を見ると、桜花の皆が次々と上がってきていた。
「土方さん、先行くぜ!」
「ethlinも早く上がって来いよ♪」
永倉さんに肩車された平助君が目の前を通り過ぎて行った。
「おやおや…永倉君は元気ですね。」
山南さんがニコニコ笑いながら近づいてくる。
原田さんと手を繋ぎながら、おねぇも上がってきた。
その後ろを近藤さんと並んで沖田さんがついてきている。
「あっ…」
「ゆすら大丈夫か?俺に掴まれ。」
「はい、一さん。」
躓いたゆすらさんを支えるように、斎藤さんが腕を伸ばした。
「藤堂さん!卑怯ですわよ
永倉さーん!私もおぶって行きなさーい!!」
冗談なのか本気なのか。伊東のおじさんが大声で叫んでいる。
そうだ。
振り向けば皆が私の傍にいる。
見上げれば皆が私を待っている。
そして私の隣には…
「そろそろ行くか?」
私は「はい」と小さな声で答えた。
時間がかかるかもしれないけど、以前のように笑える日がきっとくる。
氷の時代が終わり、暖かな小川の流れる季節がきっと来る。
今は一歩一歩前へ進もう。
温かい光差す未来へと向かって。