遠き月を見て我のぞむ ~ 下弦の月 ~ | ethlinの煩悩毛だらけ

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煩悩さらけ出し日記

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去年は『変』だったはず。


色々変化のあった年だったから。


今年はというと…色々候補はあったけど、最終的に『望』に決めました。


『絶望』したり


『失望』したりしたけど


いろんな人から元気をもらって『希望』を持った


来年はきっといい年になる、いい年にしようと『望む』ethlinです。












ここから嫁妄想江戸~幕末編スタートです。

嫁妄想は字のごとく、好きな人の嫁になった妄想小説です。

苦手な方はここで脱出してください非常口

今回はethlinが屯所に押しかけて半年ほど経った頃のお話です。

ちなみにまだ嫁ではありません。

それからブロ友の沙雪さんが今回お名前のみ出演しています。

一緒に屯所で居候(沖田さんの嫁)してるから。





月食月食月食月食皆既月食月食月食月食月食月月食月食月食月食月食皆既月食





大晦日を数日後に控え、新選組の屯所の中はいつも以上に慌しい。

数日前から仕事の合間に沙雪ちゃんと二人で屯所の中を大掃除した。

ささやかではあるが、お正月の料理を振舞おうと二人でこっそり準備もしている。

私達に出来る事はこんな事くらいしかない。

自分達の信じる道を真っ直ぐに突き進み、誠の旗を掲げるこの人達にしてあげられる事は…。











慌しい昼間が過ぎても、夜にゆっくりと出来るわけではない。

夕餉の後、熱いお茶を持って副長室へと向かう。

一応新選組副長の小姓としてここに置いてもらってはいるが、実際はと言うと…私はただの居候だ。

ここに来て半年以上経ったが、テキパキと仕事が出来るわけではない。

言われた事を忠実に守りながら、この屯所の中で簡単な雑用をこなすだけ。

(私がもう少し…あとほんの少しでも優秀だったら…土方さんのお仕事は楽になるのかな…)

『余計な事をするな』と怒られそうではあるが、私が無理やり押しかけてきたせいでかえって負担を抱えてしまったのでは…とつい考えてしまう。

(迷惑を承知でここに来たんだけどさ…『絶対に帰らない!』って駄々こねたから土方さんは折れたんだろうけど…でも、私の存在がすごい負担になっちゃっうなら…嫌だな。前へ進むお手伝いがしたくて…未来を見たくてここに来たのに…)

と考えたところで、私に帰る場所などもうない。

あの時、自分から捨ててしまった。

(ううっ…前向きに考えよう。源さんがいつも言ってくれるじゃない。『沙雪ちゃんとethlinちゃんが来てからは、この屯所の中が賑やかで楽しいね。今日も一日がんばって、ここに戻ってこようと…そんな気持ちになれるよ』って…)

副長室の前まで辿りついた。

だが部屋の襖は開け放たれ、ひょいと中を覗きこんだが土方さんの姿が見えない。

(厠?急なお仕事で出かけた?そんな気配なかったよね。それとも近藤さんのお部屋かな?)

お盆の上のお茶をどうしようかと思案していると、少し離れたところから衣擦れの音がした。

音がした方を見ると土方さんがいた。

一人黙って空を見上げている。

鈍い月明かりに照らされる彼の姿は幻想的で、私はただ…黙って見つめていた。

冬に咲く桜は…なんて儚く美しいのだろうと、そうぼんやりと考えていた。

「どうした?そんなところで突っ立って」

声をかけられ、ふと我にかえった。

どうしたらいいのかわからず躊躇していると、黙って手招きをされた。

静かに近づいて膝をつき、そっとお茶を差し出す。

「気分転換に月見ですか?でも…もうすぐお月様はなくなって消えてしまいそうですね」

彼が見上げる視線の先には、消えそうなくらい細い下弦の月が浮かんでいる。

「なくなるんじゃねぇ…新月に…真新しいモノに向かってる。下弦の月はこれから新しい事が始まる前兆だ」

「新しい事…ですか?」

「もうすぐ新しい年を迎える。まっさらなところからまた一年が始まる。今年は絶望したり、人に失望したり、希望を断ち切られたり…楽しくねぇ事がたくさんあったが、まぁ…悪くねぇ一年だった」

黙ってお茶を口にする土方さんの横顔を、私はじっと見つめていた。

「そんなにたくさん嫌な事があったのに、何故土方さんは前向きに考えられるんですか?」

「知りてぇか?」

ふいに優しい顔で笑いかけられた。

(うっ…そんな顔…不意打ちだよ…)

「はい」

赤くなった顔を見られないように少し俯きかげんで返事をすると、元気がないと思ったのか大きな手がポンポンと私の頭を数回軽く撫でた。

「どん底に落ちたら後は這い上がるだけだろ?先に進むなら…先へと進もうと思うなら空に向かって上がっていかねぇとな。その先にはきっと望むモノが待っている。それはあのお月さんみたいに遠くて掴めねぇかもしれないが、俺はきっと掴んでみせる。この手で…きっと…」

澱みののない瞳。

この人は自分の進むべき道を知っている。

どんな困難が待ち受けていても、きっとその道を進み続ける。

やっぱり私はこの人が好きだと思った。

この人について行きたいと…この人を選んでよかったと…そう思った。

「お前も…望むモノがあるだろうが。それを手に出来るのはおめぇしかいねぇ。そしてそれを手に入れる術を知っているのは…望むモノが何なのかを一番知っている…お前だけだ」

「そうか…そうですね。望むものは努力しないと手に入らないし、自分が行動しないとそれに近づけないんですよね…うん」

小さく拳を握りいきり立つ私を見て、土方さんはもう一度私の頭を撫でた。

優しく

強く

力づけるように

「まぁ…お前の望むモノが手に入るかは…全てはお前次第だ。せいぜいがんばるんだな。…いや…もうすでに半分は…手にしちまったのかもしれねぇがな…」

「えっ?何ですか?後半声が小さくて聞き取れなかったんですけど」

土方さんの顔を覗き込もうとしたけど、あっという間に立ち上がって私に背中を向けて歩き出した。

冷たい夜風に当ったせいなのか、見上げた土方さんの耳は少し赤く染まっていた。

「何でもねぇ、ただの独り言だ。月見は終わりだ。さっさと仕事するぞ。言っとくが昨日みたいに居眠りする暇なんてないからな。居眠りし始めて舟漕ぎ出したら…即、外に叩き出す!!」

「こっ…この寒空にですか!?あわわ…がんばります」

慌ててあたふたとする私に、その大きなが差し出された。

その手を取って、私は立ち上がる。

その手が多くの命を奪い、血を吸って来た事を私は知っている。

それでも私にとっては温かく、優しい、元気をくれる手だ。

「そうだな…まずは茶のかわりを持って来い。いいか二つだぞ。濃い目に入れて来い。お前も茶でも飲めば目が冴えて寝てらんねぇだろ?」

「はい、すぐにお持ちします!」

「さっさと入れて来い。お前の好きな甘いモン用意して待ってるからな」

「はい!」










自分の存在は小さすぎて不安になるけれど

自分の存在の意味を見失って不安になるけれど

前を見て歩けば大丈夫

空を見上げれば大丈夫

あの月のように今は遠くても

あの月のように今は遠すぎても

望めばきっと手に入る

いつかきっと…手に入れる











-あとがき-



『望』


会意形声。原字は臣(=目)+「壬」の会意文字で人が伸び上がってみる様。それに遠くをのぞむの意の「月」と音符「亡」を加えた。「亡」は「なくなる」等の意で、「ないものを求め、探す」の意を加えた。


ウィクショナリー日本語版 より







というわけで、今回は月と絡めたお話にしました。




年が明けて春になった頃のお話が 桜恋文 ~四月の風邪とアナタへの文~ ①  です。

なので、まだまだethlinの片想いです。

ethlinが屯所に押しかけてきた経緯などは、今ちまちまと書き溜めています。

そしてethlinが見たいと言った未来(さき)の事も…。

年が明けたらお披露目出来るかと…いえ、勝手にお披露目するかと(苦笑)ペコリ