夜に咲く花 | ethlinの煩悩毛だらけ

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煩悩さらけ出し日記

みんな花火大会行った? ブログネタ:みんな花火大会行った? 参加中
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行ってません。

大きな花火大会のある日2回も休みでしたが、行ってません。

見たいけど、人混みの中に行くには翌日休みじゃないと体力的に無理です。

少し遠くからでいいから、夜空に咲く花火を見たいです。もちろん肉眼で。


いまはいろんな仕掛けがあるみたいですね。

ハートとか?文字とか?

私は丸い花のように打ち上がったり、菊の花びらのように舞い散る花火がやっぱり好きです。

打ち上げの『ドンッドンッ』て音にもワクワクしますね。


ここから嫁妄想スタートです。

字のごとく、好きな人の嫁になった妄想ですので、苦手な方は脱出してください。

薄桜鬼の完全二次小説なりますので、ご注意くださいね。


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遠くに花火の打ちあがる音が響いている。

幹部の皆さんの中にも数人花火を見に行くと行って出て行った人がいる。

正直羨ましいけれど、この状況を見れば「花火を見に行きたい」など軽々しく言えるはずがない。

畳の上に散らばった書簡をまとめたり、局長室へ行ったり来たり、言われた書類を探し出したり…

その間も花火の打ち上げる音は絶え間なく、屯所にも届いていた。

歳三さんはさっきから一言も口を開かず、相変わらず眉間に皺を寄せて筆を動かしている。

私に出来る事は少ない。

だからその分一生懸命にするしかない。

花火が見たいなんて我が儘は…決して言ってはいけない…。

わかってる…わかってるけど…

「はぁ…花火…見たかったな…」

廊下に出て、一人小さく呟く。

父様と母様…姉様に連れて行ってもらった花火大会を思い出した。

あの頃はこんな状況など考えた事はなかった。

家族を捨て、新選組副長土方歳三という人について行くという事など。

家族を捨てた事も、この人についてきた事も後悔はしていない。

ただあの時を…

家族と一緒にいたあの時間を…なぜもっと大事に生きなかったのだろうと後悔してしまう。

「時間って取り戻せないんだな…」

失くしてしまってから気がついてしまう。

あの時は幸せだったという事を…。




晩夏のある夜、夕餉の後片付けも終わり仕事の前に虫の鳴き声を聞きながら一息ついていると、歳三さんが出かけると言った。

「はい、行ってらっしゃいませ」

「…お前も連れて行く」

「私ですか?」

「遠くにはいかねぇ…すぐに戻る」

そう言って提灯を一つ手渡された。

歳三さんの手には水の入った手桶がある。

「えっと…お墓参り?ですか」

でも、お盆は過ぎたよね?

「こんな遅くに墓参りなんざ行ったら…辻斬りよりおっかねぇモンが出るぞ。そっちの方がいいなら…まぁ…考えてやる」

「えっ!嫌だ!!」

冗談じゃない!!

「そんなに長くは出かけねぇ。すぐに戻る。行くぞ」

そう言って憮然とした顔のまま、私の手を引き歩き出した。




ほんの少しだけ歩いて行き着いた場所は、一軒の小さな家だった。

誰もいないのか、家の中はシーンと静まりかえっている。

玄関の前をすり抜けてそのままそのまま奥へと進む。

やがて手入れの行き届いた庭が目の前に広がった。

提灯の薄暗い灯りの中、晩夏から初秋を彩る植物がちらちらと見える。

「えっと…草むしりですか?」

歳三さんがあまりにも黙っているから口に出しにくかったが、思い切って聞いてみた。

「こんな夜遅くに提灯の灯りだけで草むしりする馬鹿がどこにいる?」

呆れ顔でため息を一つつき、黙ったまま縁側に桶を置く。

「そっ…そうですよね」

自分の無知加減に恥ずかしくなり俯いていると、懐から何やら包みを取り出した。

「今日連れ出した目的はな…これだ」

包みを開けるとその中には…

「…線香花火?」

「そうだ」

驚く私の顔を見て歳三さんはニヤリと笑う。

「先に教えてやってもよかったが、知らねぇ方が楽しみも大きいだろうと思ってな…黙ってた。あと他の奴らに感づかれて気持ちを浮つかせるのも面倒だったしな。ここは知り合いの家だ。数日留守にするって話だったから庭を借りる事にした」

「なぜ、わざわざここまで来たんですか?お仕事で忙しいなら、お部屋の前でもよかったのに」

「夜に花火の音と火薬のニオイで…妙に興奮して手がつけられねぇ奴らが部屋から出てきたら困る…。これ以上詳しい事は…今は話せねぇ…」

私が知らない事があの屯所にはある。

今は知るべき時ではないのだろうと、私も口を噤む。

「それにお前は仕事仕事で…花火大会も夏祭りも連れて行けなかったからな…」

そう言って一本の線香花火を手渡される。

「あまり長居はさせられねぇが…これで我慢しろ」

そっと火を点すと花火は明るい光を放ち、熱い炎の花が咲いた。

「わぁ~綺麗」

手元が明るく照らされ明るい花が咲く。

やがて花は小さくなり、わずかな熱を残して消えていく。

「夜にだけ咲く花ですね…熱くて…綺麗で…でも儚い…」

パチパチと燃える花火の炎を見つめながら、私は呟いた。

あの時の幸せのように、花火もあっという間に終わってしまう。

そして心の中に寂しいという名の残像を残す。

気がつけば最後の一本になっていた。

もしかしたらこの人とのこんな幸せな時間は、もう得られないのかも知れない。

「どうした?」

「この花火が…最後の一本が燃え尽きたら…夏も終わりですね…そうしたら…」

その後には何が待ち構えているのだろうか。

いつの日も不安は隠せない。

平凡な日々を自ら捨てても、それでも…ささやかな幸せを願う自分がいる。

「夏が終わったら、秋が来て冬が来る。紅葉が紅く染まり秋の花が咲く、雪が降れば白の世界の中に鮮やかな冬の花が咲きほころぶ。いつの季節も楽しむものはなんだってある」

ふと顔を上げると、歳三さんと目が合った。

「いつの季節もお前と一緒にいれば楽しめる。どんなに辛く苦しくても…己の誠のために…お前を守るために…俺は戦い前へ進む」

けしてぶれる事のない、心迷う事のない、そんな意志の現れた強い視線に私の心は囚われてしまう。

最後の花火に火を点し、花火を握る私の手に自分の手を重ねる。

「これからもっと辛い目にあわせちまうかもしれねぇが…俺についてきて欲しい。近藤さんがいて、みんながいて…お前がいるから…俺は走り続ける事ができる」

そうだ…

私はこの人について行く事に決めた。

こんな人だから、一緒について行く事を決めた。

この人の背中を追いかけると…

命ある限りこの人と一緒にいると…

だから後悔をしてはいけない

過去を振り返ってはいけない

前へ前へ…この人が進む未来を一緒に走っていく

それが自分の選んだ…あの時、自分が選んだささやかな幸せだ。

やがて最後の一本も火花が消え、しゅんと小さく音を立てて落ちてしまった。

「歳三さん…」

「なんだ?」

「ありがとうございます。私…今日見た花火が、今までの中で一番綺麗だったと思います」

「なんだ?安上がりな奴だな」

歳三さんはクスクスと笑い、水桶を手にして立ち上がる。

「私は貴方といられる事が幸せです。どんなに辛くても、どんなに苦しくても…貴方の傍にいます。貴方と見るモノすべてが…私にとって一番の宝物で…一番の思い出になります」

差し出された大きな手を取り歩き出す。

この人の歩く道を

この人が信じる道を

この人が選んだ…誠の道を

最後まで見届けるために…私は歩き出した。