My Precious ① ~Baby Breath Ⅲ~ | ethlinの煩悩毛だらけ

ethlinの煩悩毛だらけ

煩悩さらけ出し日記

なおねぇの I"m fortunate in having your love *桜花*  の後のお話になります。

愛したみちるの事を忘れられず苦しむ土方さん。

ethlinは土方さんの心を救う事が出来るのでしょうか。

これはクラブ桜花出張版。

薄桜鬼の完全二次小説となります。

苦手な方は脱出してください非常口


missing you  の後のお話です。

曇り曇り曇り曇り曇り曇り曇り曇り曇り曇り曇り曇り曇り曇り曇り曇り曇り曇り曇り曇り曇り曇り曇り



蒸し暑いまだ梅雨明け宣言のない7月、雨が降り出しそうな中私は久しぶりに桜花を訪れた。


(10日ぶりくらいだな…歳三さんいるかな)


花屋の中を覗きこむと、眼鏡をかけた青年と目が合った。


軽く会釈をすると、青年がニコニコと近づいてくる。


「こんにちは。土方君なら今休憩中だよ」


(えっ…なんでこの人私が歳三さんに会いに来たってわかったの)


「あぁ…申し訳ない…私はアナタの事を一方的に知っているんですよ。アナタが来ると土方君が笑っているからね…。改めまして、私は山南敬助といいます。以後お見知り置きを」


「はっ…初めまして。ethlinです」


挨拶をして顔を上げると、山南さんは私の手を引いてお店の裏へと歩いていく。


「あっ…あの…」


「土方君はスタッフルームに居ますから、ぜひ会ってあげてください。最近機嫌が悪くて困っているんですよ。何故かって?…ふふっ…何故でしょうね」


Staff Roomと書かれた扉の前まで来ると、山南さんは私の手を放し、じゃあねと言って立ち去る。


「ゆっくりしていってください。土方君にお店の事は心配するなと伝えてくださいね」


ニコニコと笑いながら立ち去る山南さんの後ろ姿を見送る。


(なんだか…不思議な人…沖田さんとはまた違う、感情が読みにくい人だな…。でも親切な人だよね)


気を取り直しドアに向かいノックをする。


もう一度軽くノックをするが返事がない。


そっとドアノブに手をかけると、ドアが開いた。


「失礼しまーす…」


静かに中を覗きこむと、ソファーで眠る歳三さんが見えた。


(お昼寝中か…)


足音を立てないようにそっと近づく。


(歳三さんの寝顔なんて珍しいかも…)


眠っている事をいい事に、マジマジと顔を眺める。


(睫長い…最初に会った時も思ったけど、ホント綺麗な人だな…)


顔にかかる髪をそっと撫でる。


(あんまり眺めてたら失礼だよね。起こしちゃったら悪いから、今日は帰ろうかな…)


立ち去ろうとしたその時、歳三さんの口から唸り声が漏れる。


「寝言…うなされてる…よね?」


ソファーの横に膝をつき、頭をそっと撫でる。


「嫌な夢見てるのかな?歳三さん、嫌な夢は私が持って帰りますから…だから…ゆっくり休んでください…」


独り言を呟きながら、何度も頭を撫で、指で髪を梳く。


(うわぁ~髪の毛サラサラだぁ…)


そっと額にかかる髪を指で梳くと、やがて安らかな寝息に変わった。


(よかった…)


「歳三さん、今日は帰りますね」


そう呟きその場を離れようとしたその時


「…みちる…」


歳三さんの口から誰かの名前が漏れた。


(み…ちる…)


私の心臓はなぜか締めつけられたように苦しくなる。


誰かはわからない。


聞いた事のない人の名前。


でも直感で思った。


きっと歳三さんの大切な人の名前だと…。


(そう…だよね…)


胸が苦しくて涙が出てきた。


(なんで…嫌だ…こんな…)


本格的に泣き出す前に立ち去ろうと動いた。


立ち上がった瞬間、腕をつかまれた。


「誰だ!?」


「ごめんなさい…」


「ethlin…お前来てたのか…」


腕が開放された瞬間ドアの方へ逃げ出した。


「待て!お前なんで泣いている」


再度腕をつかまれ、逃げる事が出来なくなった。


でも、泣き顔も泣いている理由も知られたくない。


「ごめん…な…さい…」


顔を上げられず、俯く私の目から涙がこぼれる。


「謝るような事でもしたのか?」


優しく私に声をかけてくれるのが今は辛い。


「ごめんなさい…」


嗚咽で言葉がうまく言えない。


「…寝言で何か言ってたのか?」


私の肩がビクッと動く。


嘘はつけない。


何も聞いていないとは言えない。


「…みちる」


自分の口で言葉にするのが辛い。


「みちる…って言ってました…」


歳三さんがどんな顔をしているのか見るのが怖い。


みちるが歳三さんのどんな人なのか聞くのが怖い。


今自分がどんな顔をしているのか…見られるのが怖い。


「もう…嫌…」


声が震えてうまく話せない。


「ethlin…」


「もう…嫌です…私…私…歳三さんに会ってからすごく嫌な人になっていく。優しくしてくれるだけで嬉しかったのに…だんだん我が儘になっていく自分が嫌…。もっと一緒にいたいとか…もっと傍にいたいとか…私の事好きになって欲しいとか…私の事だけ好きになって欲しいとか…そんな事ばっかり考えてる…」


顔も知らない人に嫉妬している自分が嫌だ。


醜く嫉妬している自分が嫌だ。


「ethlin、俺は…」


歳三さんの言葉を聞くのが怖い。


拒絶されてしまうのが怖い。


「お願い…します…嫌いにならないで…」


声が震えてしまう。


「他に何も我が儘言わないから…私の事嫌いにならないで…私の事…嫌わないで…好きじゃなくてもいいから…お願い…」


泣く私はまるで駄々っ子だ。


自分の思う通りにならないと暴れる子供と一緒だ。


泣いてこの人を繋ぎ留めようとしているずるい人間だ。


「嫌いになるわけねぇだろうが…」


気がつくと私は歳三さんの胸の中にいた。


「俺が…お前の事嫌いになれるわけ…ねぇだろう…」


歳三さんの声は少し震えていた。


私に触れる腕の力がいっそう強くなる。